3大格付会社のムーディーズとフィッチが22日、世界一の食肉会社JBSの格付を引き下げたと22、23日付ブラジル国内紙やサイトが報じた。
これは、ブラジルのメディアが17日に、同社社主のジョエズレイ&ウエスレイ・バチスタ兄弟らが司法取引を行ったと報じた事が発端だ。JBSは連邦政府関係者も絡んだ汚職で摘発され、兄弟や役員ら7人が報奨付供述を行った。会社としての司法取引も交渉中だ。
JBS役員らは10日に司法取引の書類にサインしたとされるが、同社摘発のブリッシュ作戦は12日敢行、エジソン・ファキン最高裁判事による同社関係者の司法取引承認の公表は18日だった。
ムーディーズが引き下げたのはJBSと米国JBSの格付で、JBSはBa2からBa3、米国JBSはBa1からBa2に、1ランクずつ引き下げられた。ムーディーズは、連邦検察庁との司法取引成立や報奨付供述の内容公開で、JBSの経営状態や収益に影響が出る事を案じており、報奨付供述の内容や捜査状況などの分析継続と、捜査の過程で資金繰りなどに影響が出た場合は分析終了前でも更なる引き下げを行いうる事も明らかにした。
フィッチも同日夜、JBSの格付をBB+からBBに引き下げた上、要観察の注もつけた。
供述者らの罰金は2億2500万レだが、検察庁は会社にも11億レの罰金を科す意向だ。
ブラジル有価証券取引委員会(CVM)は18、19日に、報奨付供述の内容漏洩と大量のドル買いや株式売却との関係や、JBSが不当な方法で相場を操って投資家に損害を与えた可能性など、5件の捜査を始めた。
他方、エンリケ・メイレーレス財相は21日、JPモーガン銀行主催の投資家らとのビデオカンファレンスに参加し、JBS関係者による報奨付供述が及ぼす影響の抑制に努めた。JBS関係者による報奨付供述は、ブラジルの政治、経済に多大な影響を及ぼしており、スタンダード&プアーズはブラジルの格付引き下げも検討し始めたという。
JBSの株式総額は、連警のカルネ・フラッカ作戦(CF)今回の司法取引とで163億レ下落した。CF前日の3月16日の時価総額326億レだったが、ムーディーズの格付引き下げ発表で株式は更に急落。終値は前日比31・34%減の5・98レで、時価総額は163億レになった。22日の損失額は75億レ、18日以降の損失額は96億レといった数字も、影響の大きさを示している。同社株式はサンパウロ証券市場で20位に位置し、取引額の1・3%を占めている。
JBSはCF後、36の牛肉加工工場中、10工場で集団休暇をとった。同作戦による経済的な損失や信用低下の程は明らかにされていない。