西風会は『西風』第5号(207頁)を先月刊行した。毎月1回集まって議論をする私的な研究会で、体験談や調査内容を半年に一度ほど出版している。
5冊目の巻頭特集は、昨年10月30日に亡くなったサンパウロ人文科学研究所元所長で西風会の中心メンバーでもあった宮尾進さんの追悼集だ。60年以上に渡る宮尾さんと古庄雄二郎さんの親交について書いた中島宏氏の「刎頚の友」、そのほか早川鉄三さん、古杉征己さんらによって故人との思い出が綴られている。
「コネ、ネットワーク、縁」(古杉征己)では、ブラジル社会をスムーズに生きぬく術としての「コネ」に触れつつ、「ネットワーク」、「縁」という形を変えた人とのつながりについて論を展開する。
「音楽幾山河」(峰村正威)では、『上を向いて歩こう』の作曲で著名な中村八大と同級生だった少年時代の思い出がかかれている。
先生がレコードをかけ、感想を求めたとき、マーチ風のリズムの速い曲に級友たちが「勇ましい曲です」と答える中、中村だけは「悲痛な曲です」と言ったという。先生が読み上げた曲名は『悲愴交響曲』―。子供時代から鋭かった中村八大の音楽センスが分かる実話エピソードだ。
その他、西風会メンバーによる座談会「日系社会の将来」などを収録。希望者は中島宏さん(電話=11・3106・2009、メール=nakashima164@gmail.com)まで連絡を。送料も西風会が負担し、無料配布している。
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