2015~16年に流行し、ブラジルだけで20万人以上の患者が確認されたジカ熱は、小頭症児の誕生などの問題も引き起こした上、少なくとも10カ国に広がった。
ブラジルのジカ熱ウイルスがどこから持ち込まれてきたかは定かではないが、研究者のグループが、米州大陸で確認されたウイルスはブラジルから広がったものである事を突き止めたという。
ブラジルや英国、米国、コロンビア、ジャマイカ、ホンジュラスの研究者からなるグループの研究成果は、他の二つのグループの成果と共に、24日付『ネイチャー』誌に掲載された。
研究者達は、ブラジル国内でのジカ熱ウイルス蔓延は2014年の前半から始まっていたと結論付けた。これによると、ブラジル国内での患者発生は、第1号発見とされた2015年3月より1年も前の事になる。
この研究によると、米州大陸の国々へのウイルス蔓延も、各国がジカ熱患者を確認したと発表した時期よりも4~9カ月早かったはずだという。
論文を作成したグループの一人で、オズワルド・クルース財団(Fiocruz)の研究者のチアーゴ・モレノ氏によれば、この種の研究は、保健衛生上の政策決定を助けるために不可欠で、予防接種用のワクチンを開発する際も、どのタイプのウイルスが蔓延している、または蔓延する可能性があるかを知る必要がある。どのようなウイルスがどのような変化を遂げているかを知る事は、正確な診断を下すためにも不可欠だ。
別のグループは、ブラジル北東部で1300人分のウイルスのサンプルを採取した。オックスフォード大学の研究者とバイア州Fiocruzの研究者は、マイクロバスを2千キロ余り走らせて、82市の患者からサンプルを集めた。
二人がサンプルを分析した結果、ブラジルで蔓延したウイルスはポリネシア諸島から伝わったもので、2013年10月から14年4月にブラジルに上陸した事がわかったという。この説は、別のグループがいう、最初の患者が確認された時期より少なくとも1年早く感染が始まっていたという結論と一致する。
二人の研究者は現在、マナウス市を拠点にブラジル北部のサンプルを集める予定を立てており、その後は中西部、南東部に足を伸ばす意向だ。
二人によると、ジカ熱ウイルスには年に10以上の変異が起きるから、継続した研究が必要だという。
ネイチャー誌に掲載されたもう一つの研究は、米国にジカ熱ウイルスが入ってきた過程を理解するために39の新たな遺伝子を研究したものだ。
米国での研究は、フロリダ州で同国初の患者が確認された時から始まった。研究によると、同州には少なくとも4回ウイルスが入ってきており、大半のウイルスはカリブ海諸国へ旅行した人達が持ち込んだという。
この研究結果も、モレノ氏達のグループが出した、米国へ入ったウイルスは、ドミニカとジャマイカから入ってきたという研究結果と一致する。フロリダ州では、2016年に256人の患者が確認されている。(24日付G1サイトより)