【既報関連】サンパウロ市ルス区クラコランジアで21日に行われた麻薬密売者と常用者の一掃作戦後、同地を追われた常用者らが、近隣23カ所でミニクラコランジアを形成していると26日付現地紙が報じた。
同地区の一掃作戦は、サンパウロ州政府とサンパウロ市市役所が共同で行う「救済計画」の一環で、保安局や法務局はもちろん、保健衛生部門や社会福祉部門の担当者も加わっている。
だが、21日の一掃作戦は、市警、軍警合わせて900人が一斉に現場に踏み込み、保健衛生部門や社会福祉部門の対応は後手に回った感が否めない。
確かに、麻薬密売者と常用者が行き来する屋台で常に道が塞がっていたアラメイダ・ジノ・ブエノは、作戦後は車の通行が可能となり、子供達が遊ぶ姿も見られる。麻薬精製や武器保管用に使われていた建物は、警察によって明け渡され、ドリア市長も「クラコランジアはもう終わった」と宣言した。
しかし、同市長は24日の「救済計画」に関する会合後、「クラコランジアは物理的になくなったが、薬物中毒者の問題は残っている」、「常用者は路上生活者同様に扱われ、社会福祉部門の職員達がしかるべき施設に収容する」と語った。
今回の作戦は検察に提出した計画通りではない事も指摘されたが、クラコランジアでの一掃作戦でよく指摘されるのは、常用者の救済や社会復帰という面での配慮の不足だ。一掃作戦が常用者拡散に繋がり、ヴィラ・レオポルジーナの州食糧保管センターやパウリスタ大通り周辺にも常用者が集まっているとの報道は、過去の作戦でもあった。
フォーリャ紙が報じた23カ所は21日の作戦後に常用者が集まり始めた場所を市警備隊がまとめたもので、プリンセーザ・イザベル広場200~300人、セー広場周辺200人、リベルダーデ駅周辺100人などをはじめ、パウリスタ大通りも含めた地区で常用者が増えている。
また、麻薬常用者を強制的に収容する事に対する批判も根強い一方、自発的に専門施設に行こうとしても空きがないと断られる例や、州や市に登録を申し出てもいないのに、常用者の治療や入院の是非を判断できる医師の名簿に名前が入っているから外してくれと当局に申し入れる医師がいるなど、様々な問題が噴出しており、息の長い取り組みが求められている。