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《ブラジル》パラー州=「農園での抗争はなかった」=州議会人権委員会が報告書

 【既報関連】ブラジル北部パラー州南東部のサンタルシア農園で5月24日に起きた、土地なし農民10人が殺害された事件で、同州議会人権委員会所属の州議3人が、「抗争はなかった」「警官は人権を侵害した」との報告書を提出した。
 5月30日に提出された報告書は、事件の現場を視察した3人の州議達がまとめたものだ。
 3人の州議は、逮捕令状を持って同農園に着いたら、土地なし農民が銃撃してきたので警官が反撃したという公式見解を全面的に否定した。
 「あの現場には、抗争以外の全てのものがあった。我々は犯罪者をかばう気はない。だが、ブラジルには死刑はないし、当局の人間も国法に従わなければならないのに、今回の事件では、法や人権はまるっきり無視されている」と言うのは、人権委員会委員長のカルロス・ボルダロ州議(労働者党・PT)だ。
 報告書をまとめた州議3人は、他の議員らとともに現場に赴き、目撃者や犠牲者の家族、生存者らの供述に耳を傾けた上で、警察側の見解との比較、検証を行った。
 目撃者や生存者達は、警察は最初から銃を打ち鳴らしながらやって来たとし、犠牲者達は殴られたり、罵詈雑言を浴びせられたりした上で銃殺されたと証言している。
 この報告書は委員会で審議された上、しかるべき部門の担当者にゆだねられるという。
 ボルダロ州議は、「この報告書は議員がまとめたもので、警察がまとめたものではないし、懲罰などを扱うためのものでもない」「実際の捜査を行い、我々が集めた情報を使うか否かを決めるのは、警察や検察、司法の役割だ」とした上、「エウドラード・ドス・カラジャスでの土地なし農民大量虐殺という出来事を経験した州で、同様の事件が繰り返されるというのは、あってはならない事だ」と強調した。(5月30日付エスタード紙サイトより)