第2回本荘追分ブラジル大会に出場した民謡歴1年半、非日系の新人イングリッジ・エスピンドラさん(22、リオ市在住)の歌声に、当地民謡界が衝撃を受けている。日本行きをかけた決勝戦でおしくも3位だったが、実は本荘追分を始めてわずか1カ月半だと聞いて関係者は絶句した。
同大会で審査員を務めた日本民謡協会の塩野彰会長と佐藤元宏副会長をして、「歌声の滑らかさはまさに天才。相撲なら白鳳、歌謡なら美空ひばり級の才能を感じる。歌う為に生まれてきたような人」と言わしめた。
日本民謡協会の全国大会で20位に入賞した実力を持つ佐藤吉治さん(74、秋田)にも、「子供の頃から聞いてきた秋田民謡そのもので驚いた。こぶしの強弱も決まっている。民謡には少なからず自信はあるが、彼女には勝てない」とまで言わせた。
民謡を始めたきっかけは、日本文化好きが高じて三味線教室に通い始めたこと。日系の家庭でもなければ、日本文化に造詣の深い人が周りに居たわけでもない。
教室を主宰する赤堀雄三さんらの勧めで民謡指導者の海藤司さんに師事し、民謡の基礎を習った。なんと本荘追分は、教師役の海藤さんと録音した歌を携帯アプリで送りあうという「遠隔教育」をうけて1カ月間で身に付けたという。
赤堀さんが三味線を教えている人の中でもイングリッジさんの耳の良さは「飛びぬけている」という。まさに「歌う為に生まれてきた人」というわけだ。
イングリッジさんは今後も民謡大会に出場する意向を示しており、直近では6月11日に宮城県人会で行われる江差追分大会でお目にかかれるかもしれない。
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