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大耳小耳

 俳誌『朝蔭』第451号が5月に刊行された。《コーヒーをたてて夢見る朝寝かな》(杉本君枝)、《綿降るとパイナ見上げる日本客》(黒澤志賀子)、《パイネイラ踏まずに通れぬ田舎道》(山下志げこ)など。開いたページで、ふと《大根の葉の浅漬や握り飯》という句が目に留まった。まるで日本在住者かと思える句だ。作者の澤田千代さんはプ・プルデンテ住まい。よく見ると前の句が《サビア鳴く山家住まひの老二人》。子どもを都会の大学に送り出した後の老移民らしい作品で、なるほどと納得。《吾が耕地の庭に姦しペリキット》(加藤遠洲)もまさに南米らしい花鳥諷詠か。