旧南米安田保険の社長と会長を歴任した松尾治さんは、「南米銀行がスダメリス銀行に吸収合併されるとき、南銀グループの南米安田も一緒に合併されるはずだった」と振り返り、「持ち株比率を上げて吸収合併を回避しようとした。株主に株を売ってもらうよう奔走した」と明かした。
「グループの中でも保険部門の採算は良かったから、身売りするグループの価値を落とすことになる。南米銀行からもスダメリス銀行からも非難され頭をさげまくったよ」と思い出す。それでも株式買取を強行したのは、「社員を路頭に迷わすわけにはいかない」との思いがあったから。
結局、合併を免れ、会社は存続した。「今の社員でこのことを知っている人はもういないでしょう」と松尾さんは話す。合併時の混乱の裏には知られざる努力があること痛感した。(陸)