ペルナンブコ州の女性公務員が、3歳の息子の教材が人種差別にあたると判断し、7日に同州検察局に訴えた▼その教材は、二つの家族の絵から幸せそうな方を選ぶよう求めている。だが、幸せそうな顔をしている家族は白人系、悲しそうな顔をしている家族は黒人系と、肌の色が違っていた。弟の教材を見た5歳の娘は「どうして黒人の家族は悲しそうなの? 私は黒人だけど、悲しくなんかないわ」と母親に言ったという▼肌の色による偏見を植え付けかねない教材が、年端も行かぬ子供達を傷つけ、偏見や優越感、劣等感などのネガティヴなものも生み出してしまう現実。残念だが、奴隷として連れて来られた上、解放後も貧しい生活を強いられた黒人の子孫は、黒人やその混血で肌の色が褐色のパルドが人口の半分を超える今も、偏見や差別の只中で生きている▼5日発表の暴力白書によれば、ブラジルでは殺人事件の犠牲者の71%は黒人系だ。また、肌の色による偏見や差別は些細な事の中にも出てくる。サンパウロ市イジエノポリスのショッピングセンターの警備員が7歳で黒人の子供を見て、隣にいた父親に「この子が迷惑をかけていないか」と訊いてきた事もその一例だ。子供達が物乞いをしないか監視するよう命じられていた警備員が、子供が着ていた制服ではなく、肌の色に目を留めて、質問してきたのだ▼父親は、責任者に訴えれば警備員が解雇されうると判断し、そのまま帰宅した。だが、結局、経営者側の命令を受けた職員が偏見に基づいた質問を行ったという事実を考慮するよう求める文書を送付した。女性警備員も黒人だったという事実が、この手の問題の根深さも物語っている。(み)