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《ブラジル》大統領選無効裁判でO社のデラソン除外=選挙参謀の収賄が考慮外に=メンデス長官らが強硬反対=テメルには有利な展開

8日の審理でのメンデス長官(José Cruz/Agência Brasil)

8日の審理でのメンデス長官(José Cruz/Agência Brasil)

 選挙高等裁判所(TSE)での14年大統領選でのジウマ/テメル・シャッパに対する裁判は8日で3日目を迎え、終日の審理となった。午前中から昼にかけて行われた審理では、今回の裁判ではオデブレヒトの報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)は使うべきではないと考える判事が7人中4人いることが確認され、同シャッパにとって有利な展開となった。8日付現地紙サイトが報じている。

 昨日付本紙でも報じたように、報告官をつとめるエルマン・ベンジャミン判事は、「わが国の民主主義のため」との大義名分を主張し、オデブレヒト社が行ったデラソンを裁判の参考資料として取り込むことを強く主張していた。
 同社のデラソンでは、10年と14年の選挙でジウマ氏の選挙参謀をつとめたジョアン・サンターナ氏に、同社がペトロブラスの事業に絡んだ公金による贈賄を行ったことが語られ、サンターナ氏逮捕につながった。同社との間の贈収賄についてはサンターナ氏も自供しており、実刑判決も言い渡された。
 ベンジャミン判事の主張に、最高裁判事でもあるルイス・フクス、ローザ・ウェベル両判事が賛同した。フクス判事はこの件に関し、「これらの事実はきわめて重大なものであり、汚職が入り込んだことで選挙そのものの過程も汚染されてしまった」と強い口調で言い切った。
 この3人の時点では「デラソンを取り込む」で決まるかのように見えた。だが、この後、ナポレオン・ヌーネス・マイア、タルシジオ・ヴィエイラ・デ・カルヴァーリョ、アジマール・ゴンザーガの3判事、さらにジウマール・メンデス長官の4人がデラソンを含めることに反対した。
 反対理由として、ナポレオン判事は「問題の賄賂は14年の大統領選の分ではなく、10年分が遅れて払われたものだった」とし、メンデス判事は「デラソンが憲法違反であることは、1990年制定の第64条23項でも明らかだ」としてデラソンの違法性まで指摘した。
 こうして、同シャッパが選挙法違反として決定的に問われる主な事由のひとつになると思われていたサンターナ被告の収賄疑惑が、今回の裁判では含まれなくなった。これは、「当選無効の判決が出た際にジウマ氏との連帯責任が問われるのか」との心配をしていたテメル大統領にしてみれば、「それ以前にジウマ氏の当選が失格になるか」の次元までトーンダウンしたために有利となった。
 なお、タルシジオ、アジマール両判事はテメル氏自身が選出した判事でもある。
 ただ、ベンジャミン判事は午後2時47分の審理再開後も、食い下がって抗議を続けていた。