【既報関連】ブラジル連邦政府が8日、不正行為に関与した銀行や証券会社の調査と処罰のための新しいルールを規定する暫定令(MP)を発表したと9日付現地紙が報じた。
金融機関が直接、中銀と課徴金減免制度(企業版の司法取引)を交渉できるようにするMPは、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の捜査で、元財相らが、金融機関が絡む不正の内容を含んだ報奨付供述を行う事が噂されるという、非常に繊細な時期に出た。
連邦検察庁は最近、課徴金減免制度を使って、J&Fホールディングスが捜査に協力する代わりに、罰金を103億レアルに留めるという合意を交わしている。今回のMPにより、金融機関が中銀に支払う罰金の上限は、従来の25万レから20億レに引き上げられた。
銀行や証券会社と関係が深く、報奨付供述に応じる可能性があるのは、アントニオ・パロッシ、ギド・マンテガの両元財相、ロビイストのアジール・アッサジ氏、ブローカーのルシオ・フナーロ氏などだ。
政界汚職捜査の手が社会経済開発銀行(BNDES)などの金融機関に絡む疑惑にも及びつつある中、中銀はかねてから政府に新たなMP制定を強く求めてきた。
MPは、自らの犯した違法行為を明かして捜査に協力する企業に、「刑事訴訟を免れるか、本来の刑罰の3分の2または3分の1の減刑」の恩恵を与える。この恩恵は、既に捜査対象になっている銀行や投資家にも与えられる。従って、LJで捜査対象に浮上した金融機関も中銀との司法取引を行うことができる。
金融各社の相互関係は非常に複雑だ。もし、一つの金融機関が捜査対象になったが課徴金減免制度を使わず、業務停止などの甚大な刑罰が課されると、提携している他の金融機関の機能も止まるため、金融業界全体に影響しかねない。また係争が最高裁に持ち込まれると、最終的には、政府が公的資金で金融機関を救済する必要も生じかねないが、今回のMPによってそれを回避できる。
中銀は、新たなMP発令は2010年から議論されてきた問題で、LJにおける報奨付供述の噂とは関係がないとしている。事実、ジウマ政権時代にも同様のMP草案が大統領に送られたが、棚上げとなっていた。
地元紙によると、棚上げされた草案と酷似したMP草案は、3月に早期発令要請の脚注つきで官房長官に渡されており、6日に開かれたテメル大統領とゴールドファジン中銀総裁との間の会合で最終的な合意を得て、発表されたという。