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《ブラジル》選挙高等裁判所=テメルが大統領の座守る=ジウマとのシャッパは当選に=4判事の強引判断に国民不満=ジャノーとの争いは激化か?

TSEのジウマール・メンデス長官(José Cruz/Agência Brasil)

TSEのジウマール・メンデス長官(José Cruz/Agência Brasil)

 【既報関連】9日に高等選挙裁判所(TSE)で行われた、2014年大統領選でのジウマ/テメルのシャッパの当選無効を問う裁判は、判事投票4対3で「当選有効」が成立した。だが、その裁判のやり方を巡る国民の不満は大きく、今週中にテメル氏を起訴する予定のロドリゴ・ジャノー検察庁長官と大統領の攻防も激化の様相を見せそうだ。10~12日付現地紙が報じている。

 10日付本紙でも報じたように、報告官のエルマン・ベンジャミン判事は4時間かけてジウマ/テメル・シャッパの当選無効を激しく主張した。だが、8日に「オデブレヒト社からの報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)を裁判材料に含めない」と主張した4人の判事によって覆された。
 ベンジャミン判事の報告後、ナポレオン・ヌーネス・マイア、アジマール・ゴンザーガ、タルシジオ・ヴィエイラの3判事が、「デラソンに対する不信感」や「裁判当初に問われていたことではなかった」などの理由で、シャッパの当選無効を支持しなかった。
 その後、最高裁判事でもあるルイス・フクス、ローザ・ウェベルの両判事がベンジャミン報告官の主張を支持し、投票は3対3の同点となった。
 だが、かねてからテメル大統領の解任に強く反対と報じられていたジウマール・メンデス長官が、「大統領の任期剥奪はよほど明白な理由でもない限り起こってはいけない」と主張した結果、4対3でシャッパが救われる形となった。
 原告のアエシオ・ネーヴェス氏(民主社会党・PSDB)は、ジウマ氏が既に罷免されていることやテメル氏の辞任は求めていなかったこと、ジウマ氏も14年選挙での当選が確認されたことで上告は考えにくい。
 ただ、オデブレヒトのデラソンや、ジウマ氏の元選挙参謀で、同選挙期の収賄で逮捕、実刑判決も受けたジョアン・サンターナ夫妻のデラソンが考慮されず、一方的に裁判が行われたことに対する国民の不満はそれなりに大きい。
 この後は、ロドリゴ・マイア下院議長がテメル大統領の罷免請求を受け付けるとは考えられないため、テメル氏を罷免するには現行犯逮捕しかない。ロドリゴ・ジャノー長官は今週中に、JBS社から疑惑の金銭を受け取ったとして逮捕された元側近のロドリゴ・ロシャ・ロウレス容疑者と共に、収賄や捜査妨害、犯罪組織形成の容疑で、テメル氏を起訴する予定と噂されている。
 一方でテメル大統領も、8月に迫った次期検察庁長官選挙では、ジャノー氏の意向を汲む候補者を指名しない可能性も報じられはじめている。従来は検察庁内の予備選挙で選ばれた最終候補3人のトップが指名され、上院での審議後に任命されてきた。現在名前が挙がっている候補8人は全員、ラヴァ・ジャット作戦擁護を訴えている。