中銀が行う金融機関に対する経済動向の予想調査「フォーカス」が、17年の国内総生産(GDP)とインフレ率を0・41%と3・71%に下方修正したと12日付現地紙サイトが報じた。
GDP成長率は6日発表の0・5%から、インフレ率は同3・90%から引き下げられた。GDPは、食肉大手のJBS社主らの報奨付供述の内容漏洩後、連続して下方修正されている。18年GDPも2・4%成長が2・3%に、インフレも4・4%から4・37%に下方修正された。
ここで気になるのは、JBS社主らの報奨付供述や、同社がこれまでに行ってきた経済活動がブラジル産業界にもたらしたマイナスの影響だ。
JBS社主のジョエズレイ・バチスタ氏らの供述は、テメル大統領やアエシオ・ネーヴェス上議らへの捜査開始や上連邦議員3人の停職などの政治的混乱を招き、アエシオ氏は民主社会党(PSDB)党首も辞した。
また、供述内容の漏洩や、その翌日の司法取引正式承認後に起きた供述内容の公開などで、株式市場や為替を含む、経済界の混乱も生じた。
JBSの持ち株会社で、多方面で事業を展開するJ&Fは、JBSと共に公的機関の調査対象とされ、9日に行われた連邦警察のアキレス作戦の対象にもなった。
また、JBSは信用格付が引き下げられた上、罰金支払いなどのため、6日にアルゼンチンやパラグアイ、ウルグアイの3カ国の生産拠点をミネルヴァに売却する事を発表。J&F傘下のセルロース会社で、多額の負債を抱えるエウドラード社の信用格付も、供述後に引き下げられた。
また、JBSのライバルであるBRFの経営審議会メンバーだった、ペトロブラスの年金基金Petrosの元総裁2人が、JBSから賄賂を受け取っていた事も供述で判明。2人が流したBRFの情報は、操業開始が遅れたBRFの工場をリオ州政府に没収させてJ&F傘下の会社に使わせるなどの不正にも繋がったようだ。
JBSの供述とそれに続く様々な混乱、経済活動縮小が、ブラジルの成長回復の足を引っ張っている事は、中銀の調査でも数字となって表れている。
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