13日にメルボルンで行われたサッカーの親善試合、対オーストラリア戦で、ブラジル代表(セレソン)はW杯南米予選のレギュラーが2人しか先発出場しない中、4―0と圧勝したが、その主役のひとりは2得点を決めた意外な伏兵だった。
その選手の名はジエゴ・ソウザ。今月17日に32歳になるベテランのセンター・フォワードは、国内リーグでも地味な存在の、北東部はペルナンブッコ州レシフェにあるクラブ、スポルチの選手だ。若い時はU20代表にも選ばれ、セレソンにもパルメイラス在籍時の2009年に召集された経験がある。
だが、その後は伸び悩み、国内の様々なチームと、ロシアやサウジアラビアのクラブでプレーしたに過ぎなかった。国内でもその存在は地味だったから、国際的知名度に関しては言うまでもない。
だが、スポルチに流れ着いた2016年、彼は同チームで活躍し、13得点でリーグの得点王に輝いた。すると、それに目をつけたチッチ監督から、今年に入ってから徐々に召集を受けるようになった。
現在、セレソンのフォワードは激戦のポジションで、控えでもロベルト・フィルミーノ(リバプール)やダグラス・コスタ(バイエルン)、選外でもルーカス・モウラ(PSG)やルアン(グレミオ)らのいる中で、この地味な30代の選手が召集されることに違和感を唱えるファンはブラジル国内でも多い。
だが、これは同時に、「年齢や所属クラブの知名度に関係なく、チッチ監督が良いと思えば召集がある」ということで、それがブラジル人選手に対し、「自分でもセレソンに」との意欲をかきたてる原動力にもなっている。今回のオーストラリア戦が控え選手の試合になったにもかかわらず、緊張感のある試合をチームが行えたのも、「次の召集のためのチーム内での競争」意識があったためだと思われる。
その中でジエゴは、故障したレギュラーのガブリエル・ジェズスの代役という重責に、2得点という形で見事に応えた。
これは、彼が所属するスポルチにとっても朗報だ。ジエゴのスポルチでの背番号は「87」。これは同チームが全国選手権で唯一の優勝を飾った記念すべき1987年を意味するものだが、この番号はチームの誇りだ。その番号を背負う彼が、セレソンに選手が召集されることはほとんどないチームにも喜びと活気を与えている。同チームからセレソンに招集された選手の得点は、1981年にロベルト・コラソン・デ・レオンが決めて以来、36年ぶりのことだ。
競争が厳しい状況ゆえ、9月のW杯南米予選で彼が再び召集されるかはわからない。だが、18年のW杯本番まで、高いモチベーションでプレーを続けることは間違いなさそうだ。(13日付グローボエスポルテなどより)
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