【既報関連】ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)は、選挙高裁による14年選挙当選の有効性を問う裁判では難を逃れたが、今度はロドリゴ・ジャノー察庁長官による起訴が有力視されるなど、政治的危機の只中にいる。
そんな中、同大統領は経済政策で少しでも政権に好意的なムードを作ろうと努力しており、13日には各州知事を招いた夕食会を開催し、各州が社会経済開発銀行(BNDES)に対して負っている、合計505億レアルに上る負債の猶予に関する規定と、各州に債券を発行し、販売することを認める施策(セクルチザソン)を発表すると、同日付現地紙が報じた。
この夕食会には少なくとも十数人の州知事の出席が確認されており、BNDES総裁や、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)、エウニシオ・オリヴェイラ上院議長(PMDB)も参加する。
各州が、負債を整理するためにBNDESと再交渉し、追加契約を結ぶことを認める施策は、上院の承認を待つのみだ。同施策は、税収減による財政危機に瀕する州には大きな助けとなる。
国家通貨審議会(CNM)は今年2月に、各州が2015年末までに抱えている負債を解消するために、新たな融資を受けるための諸条件を決めた。その中には、今後4年間の返済猶予と、5年目から20年かけて返済すればよいとする内容が含まれている。
国庫財務局は、全ての州が負債返済のための再融資契約を結べば、各州は今後3年間で総計60億レアルの財政的猶予を得ると見ている。
政府はまた、セクルチザソンの実施も望んでいる。リオ州は今年だけで新たな赤字を260億レアル抱え込む見込みで、この施策の実施を待ち望んでいる州の一つだ。
財務省検察総局(PGFN)の試算によると、各州は総計で605億レに上る債券を売却できる潜在能力があり、半額で見積もっても302億レ相当の収入になる。
テメル大統領に近い筋は、13日の夕食会は、経済政策発表のためだけではなく、現政権への支持を求める目的もあるとしている。
夕食会には、債務再交渉などの実務に携わる州の財務担当者は呼ばれていないため、州側も、政府が「州の財政支援施策を発表する」以外の思惑を持っていることは敏感に察知しているようだ。