ブラジルの日本移民は今年109年、戦後の移住が再開されて64年。戦前、戦後を通じてブラジルに移住した日本人の数は25万人余、そして現在では190万人余といわれる日系人の中に占める日本人の数は3%を下回ると言われています。
109年前に、コーヒー園のコロノ生活に始まり、幾多の年月の中には志を果たせず、また過酷な労働の中で生を受けた子供が早世するなど、一言でブラジルの日本人移民を語ることはできません。
それに自分の意思とは関係なく両親につれられて、ブラジルに来て育ち、亡くなった人たちも沢山います。数多くの人たちの労苦があったから今日があるということを忘れてはなりません。
6月18日は、志を果せず亡くなられた人の慰霊を弔う日でありますが、今では日系社会も移り変わって、ブラジル生まれの人たちが多くなり、一世の大半は高齢化し、二世、三世そして四世、五世、六世という時代が来ており、今では日系人の中心は三世かと思います。
そして世代別の混血状況は四世においては60%を超えると言われています。また、デカセギに日本に行き、定住している日系人の数も増えています。
これからの日系社会のあり方を考える時が来ました。来年はブラジル日本移民110周年となりますが、その式典がフェスティバル・ド・ジャポンの会場であるサンパウロ市のイミグランテス会場で行われます。日本の郷土芸能、郷土料理などを通じて県連が、ブラジル社会に広げていったこの催しは、今では入場者の半数以上を非日系人が占めるようになりました。
このような中で、日本に対する認識、理解は希薄になっておりますが、県連は留学生、研修生が減少していることから、その復活、存続などを訴え、交流を今まで以上に密にしたいと思っています。
それには、私どもの行く基礎を作っていただいた、先人の足跡を忘れてはなりません。毎年6月18日に行われる慰霊祭は、これからの日系人の生き方を考えるとともに先人の方々への鎮魂の儀式です。これを次代に受け継いでもらい、新しい日系の歴史への第一歩を踏み出したいと思います。
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