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日本企業の果たす役割=ブラジル日本商工会議所会頭 松永愛一郎

松永会頭

松永会頭

 6月18日「日本移民109周年」を迎えるにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 1908年、笠戸丸がサントス港に入港してから109周年を迎える今、日系ブラジル人の数は約190万人にのぼると言われております。
 勤勉さと教育レベルの高さから広範な分野に進出し、ブラジルの発展への貢献及びブラジル社会に確固とした存在を示し続けている日系ブラジル人の皆様におかれましては、日本・ブラジル両国の友好関係を強化していく上で強固な架け橋の役割を果たして頂いており、この場を借りまして、感謝の意を表します。
 さて、ブラジルは政治危機を伴う長期に亘る不況に苦しんできましたが、ここに来て、景気は底を打ち(インフレ等の経済指標も改善傾向)、緩やかな回復局面に入りつつあります。
 このまま順調に経済成長に繋げていく為には、投資、特に海外からの投資が不可欠であり、ここでも日本企業の果たす役割が大いに出てくるのではないかと考えています。
 歴史を振り返ると、日本は、日系移民の方々が血の滲むようなご苦労をされた農業分野での貢献に始まり、セラード開発やウジミナスなどのナショナルプロジェクトでもブラジル経済に深くコミットしてきました。そして今、ブラジルの経済回復が切望される中、日本企業がブラジル復活の為に大いに貢献できると確信しています。
 こうしたブラジルにおける日本企業の活動を後押しする為、ブラジル日本商工会議所(以下、カマラ)としても、税制、労働等の所謂「ブラジルコスト」の改善に向けた政策対話活動(AGIR活動)を精力的に行って参りました。
 未だ道半ばではありますが、日伯経済関係の活性化の為、カマラとしても引続き全力を挙げて取り組んで参る所存です。また、カマラとしては、これまでの日伯EPA交渉の推進を主要な民間経済団体および両国政府に対し積極的に働き掛けてお願いして参りましたが、ブラジル、アルゼンチン両国政府が市場経済重視の姿勢に大きく舵を切る中、今後は、日本とメルコスールのEPAの早期締結についても、是非ご検討頂くようお願いしていきたいと考えております。
 一方、両国政府間の動きとしては、昨年ブラジル大統領の公式訪問として11年ぶりとなるテメル大統領の初来日が実現致しました。
 また、今年に入り、この世界最大の日系社会を抱えるブラジルにおいて、海外で日本の文化や歴史、科学技術などを紹介する広報拠点施設「ジャパン・ハウス」がサンパウロで開館し、4月30日にテメル大統領や麻生副総理、薗浦外務副大臣ご臨席の下、記念式典が盛大に開催されました。
 式典には、テメル大統領のみならず、アルキミン・サンパウロ州知事やドリア・サンパウロ市長も参加し、当地メディアでも大きく報道されたのは記憶に新しいところです。
 世界最大の日系社会を抱えるブラジルだからこそ、これだけの要人が多数参列する異例の対応となったものであり、日本の情報発信基地として、日本のプレゼンスを大いに示すことができ、最高のスタートを切ることができたのではないでしょうか。カマラとしてもジャパン・ハウスの活動を応援していきたいと思います。
 カマラは、今後とも、日系社会の皆様のお力添えを頂きながら、経済だけでなく、政治・文化など日伯の交流促進に向けて全力で取り組む所存でございますので、これまで同様ご支援、ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。