現在のブラジルの音楽界で最も世界に近いと目されている存在は、女性歌手のアニッタ(24)だ。昨年8月のリオ五輪の開会式でカエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルの御大に囲まれて「ブラジル」を歌った美人女性歌手といわれれば、ピンとくる人も少なくないだろう。
彼女は20歳だった2013年に「ファンクの女王」というキャッチフレーズのもと、一躍ブラジル屈指の人気歌手となった。当初から、ブラジルだけの市場を狙う感じではなく、ビヨンセやリアーナといった世界的人気のR&B歌手を意識したタイプの楽曲を歌い、かつ彼女自身、独学で積極的に語学を学ぶなど、早いうちから「国際的スターになりたい」という意思を見せていた。
その意欲は、やはり、リオ五輪後から本格化している。このところの彼女の、世界を意識した活動とプロモーションは、過去のブラジル音楽界においても異例な力の入れようになっている。
対ラテン・アメリカのマーケットに関しては、南米屈指の二枚目男性歌手、コロンビアのマルーマと組んだ「イエス・オア・ノー」が南米圏一体でヒットした。
5月には、オーストラリアの世界的女性ラッパー、イギー・アゼリアの曲「スイッチ」で、フィーチャリング(ゲスト)シンガーとして客演した上、アメリカ最高視聴率のトークショー「トゥナイト・ショー」でもこの曲を生で披露して話題を呼んだ。
この他にも、アメリカのラッパーのタイガや同国のダンス・ミュージック・グループのメイジャー・レイザーとの共演が控えているという。
そんなアニッタだが、17日、自身のインスタグラムで、自分の曲に日本人が振りをつけて踊っているのを見て大喜びしてそれをシェアした。
その曲はブラジルでの自身の最新ヒットで、国内のスポティファイで最も配信されている「パラジーニャ」だ。そのシェアされた内容を見るに、踊っているのは中学生くらいの女の子で、その風貌から、中心となったのは日系人の子ではないかと思われる。
神社の前で5人組で踊る彼女たちの姿を見て、アニッタは「わあ。日本でまで! 日本語でなんて感謝の表現すれば良いのかわからないけど」と、60万人を超えるシェアした人たちにコメントした。
アニッタは2013年のブラジルのレコルデ局の企画で、ヒット曲の「ショウ・ダス・ポデローザス」を日本語で歌っており、15年には国際進出のために日本語の勉強もしていると語っている。