JBSショックの仕掛人、ジョエズレイ・バチスタ氏が17日発売の「エポカ」誌に対し、テメル大統領に対する新たな疑惑を投げかけ、さらに16日午前には連邦警察への報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)も行った。17~19日付現地紙が報じている。
11日に帰国したジョエズレイ氏は連警での供述より前にエポカ誌のインタビューに答え、「テメル氏はブラジルで最も危険な犯罪組織のボス」とした。
同氏は犯罪組織のメンバーとして、テメル氏、エドゥアルド・クーニャ前下院議長、ジェデル・ヴィエイラ・リマ大統領府総務室元長官、エンリケ・エドゥアルド・アウヴェス元下院議長、エリゼウ・パジーリャ現官房長官、モレイラ・フランコ現政府秘書室長官(全員民主運動党・PMDB)の6人の名前を挙げている。
ジョエズレイ氏が「テメル氏がヒエラルキーの頂点」と考える理由は、現在逮捕中のクーニャ氏が「自分で解決できない問題があると、常にテメル氏に投げていた」からで、テメル氏はクーニャ氏への賄賂の支払いなども全て知っていたという。
同氏はジェデル氏に関する疑惑についても語った。ジェデル氏は連邦貯蓄銀行(CAIXA)副総裁時代の2011~13年頃、勤続期間保障基金(FGTS)を政治家への賄賂と引き換えに不正融資させた疑いを持たれているが、そこにクーニャ氏やPMDBの闇ブローカーのルシオ・フナロ氏(現在逮捕中)が絡んでいたとされている。
同件は今年2月に判明しており、ジョエズレイ氏も16日の連警へのデラソンで改めて認めた。また、エポカ誌のインタビューによると、ジェデル氏はクーニャ氏やフナロ氏への口止め料としての賄賂支払いの確認役も担当していたという。
16日付本紙でも報じたように、クーニャ氏は口止め料としての賄賂請求を否定している。
一方、19日付フォーリャ紙は、ジョエズレイ氏のエポカ誌への発言には、5月にJBSショックを引き起こしたデラソンとの食い違いが2点見られると指摘している。
ひとつはテメル氏との出会いで、デラソンでは「副大統領当選後の2011年」になっていたが、今回は、「2009年か10年(テメル氏が副大統領になる前)で、2度目の対面で早くも携帯電話の番号を教えてもらった」となっている。
もう一点は、「カバンの男」と称されるテメル氏元側近のロドリゴ・ロシャ・ロウレス(現在逮捕中)との関係だ。デラソンでは「ジェデル氏が捜査対象になって連絡がとれなくなったため、テメル氏の側近だったロウレス氏に電話をかけ、テメル氏との面会を申し入れたら、サンパウロ市のホテルでの面会をセットしてくれた」とあったが、今回は「ロウレス氏との関係は顔を知っていた程度だったが、(3月7日の会談時に)テメル氏が彼を指名してきた」と語った。
テメル大統領はエポカ誌でのジョエズレイ氏の発言に怒りを隠さず、訴訟に持ち込む意向だという。