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大物CM出演タレントも離れる=ブラジル揺るがす食肉大手JBS

 社主のジョエズレイ・バチスタ氏が数々の汚職暴露発言を行い、テメル大統領の座まで脅かされそうになっていることで俄然、注目度が高まった食品大手のJBS。
 だが、本人が次々と爆弾発言を用意しようとすればするほど、同社の評判が急速にガタ落ちしているのが現実だ。
 既に、スーパーでは同社ブランドの商品の人気が急落し、ラベルをはいで販売し始めたことや、同社が極度の経営難に陥い、資産の一部売却を始めていることなどが報じられているが、それは同社の売りのひとつでもあったテレビCMにも影響しはじめている。
 同社のCMは有名な芸能人を起用することで知られ、メディア露出の良さに関して言えばかなり派手だ。日本では珍しいことではないかもしれないが、ブラジルではそうしたCMが日本ほど頻繁ではない。そういう状況にも関わらず、同社は自社製品のハムのCMにハリウッドの超大物俳優ロバート・デニーロを出演させることにも成功している。このあたりのセンスは、普段ニューヨークでの優雅な生活が報じられているジョエズレイ氏らしいセンスだ。
 だが、それも今後長くは続かなさそうだ。20日、同社の鶏肉ブランド「フリボイ」のCMに長期間出演しているブラジル屈指の名優トニー・ラモスが、ガウーシャ局のラジオ・インタビューで同社との契約について聞かれ、「JBSが次々に汚職を暴露し始めた頃から驚きの連続だよ。あの会社と関わっていることが僕にとっても不名誉なことになった」と語った。5月に承認された同社幹部らの報奨付供述によれば、テメル大統領をはじめ、1800人を超える政治家に贈賄を行ったという。
 さらにトニーは「あの会社のCMに出ていたこと自体は後悔していない」としながらも、「でも自分の名前に傷がつくのは耐えられない。もう、これ以上、名前を貸すことはできないよ」と同社との契約破棄を宣言した。
 トニーの説明では、JBSは今年いっぱい彼の写真などを広告に使用する権利があるが、「それも解約できることになっている」として、即時の撤退を求めている。
 また、かつてはグローボ局最大のニュース番組「ジョルナル・ナシオナル」のキャスターで、バラエティに転向して大成功した女性司会者のファッチマ・ベルナルデスも、同社ブランド「セアーラ」のCMに出演していたが、同じ理由で解約したという。
 JBS社のCM出演者には、半世紀以上にわたり音楽界の重鎮として活躍し続けるロベルト・カルロスも含まれている。
 JBS社幹部らによる報奨付供述は5月17日に漏洩後、同18日に正式に承認されたが、この司法取引で汚職を暴露する直前には公的銀行からの不正融資が暴かれた。
 JBSは、3月に行われたカルネ・フラッカ作戦で食肉の不正保存の問題が発覚してダメージを受けて以降、テレビCMも余り目にされない状態になっていたが、今回の汚職暴露で、JBS離れに一段と拍車がかかったといえる。(19日付グローボサイトなどより)