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ブラジル連警がテメルの収賄容疑濃厚と報告=ロウレスの金銭授受に関与=他の罪状は録音の鑑定次第=クーニャが気になる反論も

20日、ロシアでのテメル大統領(Beto Barata/PR)

20日、ロシアでのテメル大統領(Beto Barata/PR)

 ブラジル連邦警察は19日、テメル大統領と同氏元側近のロドリゴ・ロシャ・ロウレス元下議の収賄容疑は濃厚とする捜査報告書を最高裁に提出した。大統領らへの容疑の内、捜査妨害と犯罪組織形成に関する報告書は、大統領とJBS社主のジョエズレイ・バチスタ氏とが会ったときの録音の鑑定結果を待ってから提出される。20日付現地紙が報じている。

 連警が現金を受け取ったロウレス氏と共に、テメル大統領も収賄に関与していたとした理由は、少なくとも三つある。
 まず、ロウレス氏が3月6日に日程を調整し、7日に問題の録音が行われたジャブルー宮での大統領とジョエズレイ氏の会談が成立したことだ。
 また、その会談では、経済防衛行政審議会(Cade)での問題解決の必要を訴えるウエズレイ氏に、テメル大統領がロウレス氏を指名。大統領はロウレス氏は全幅の信頼の置ける人物だから、どんな問題でも相談してよいと語っている。
 ロウレス氏は数日後、JBS理事のリカルド・サウジ氏とサンパウロ市で会い、Cadeでの問題解決の見返りとしての賄賂の受け渡し方法などを決めた。ここで録音された内容も、連警が提出した捜査報告書の基礎資料の一つだ。また、50万レアルの賄賂受け渡しの様子はJBSから連絡を受けた連警が録画しており、いわば、おとり捜査だった。
 また、大統領とロウレス氏に関する三つの罪状中、捜査妨害と犯罪組織形成に関する報告書は、計4本の音声データの鑑定結果が出揃ってから提出される予定だ。エジソン・ファキン最高裁判事は連警の捜査期間を18日まで延長したが、録音テープの鑑定が完全に終わっておらず、連警が5日間の延長を要請した。
 連邦検察庁は3月7日の録音で、大統領が「エドゥアルド・クーニャ前下院議長への贈賄は継続すべき」と言ったと推論しているが、この録音は編集されているとして、問題視されていた。
 また、ウエズレイ氏らの供述に対しては、テメル大統領やクーニャ氏らが強く反発している。
 大統領は18日に作成したビデオの中でジョエズレイ氏の人間性を疑問視し、同氏を訴え、戦うと明言した。テメル氏の弁護団も「JBSはテメル氏が副大統領になった2011年よりずっと前から連邦政府と関係があり、2005年には既に社会経済開発銀行(BNDES)からの融資を受けていた」と暗にルーラ元大統領との関係性をほのめかしている。
 また、クーニャ氏も19日、エポカ誌が掲載したジョエズレイ氏への取材内容に関して、「ジョエズレイ氏は2006年と13年にしかルーラ氏と会っていないと言ったがそれは嘘だ。昨年の3月26日、彼は私とルーラ氏に会い、ジウマ大統領(当時)の罷免問題について話している」との手紙を書き送った。
 また、エポカ誌のインタビューでのジョエズレイ氏の発言は、連警への報奨付供述との矛盾点が複数指摘されている。