「第4回サンパウロ州地方団体の集い」が15日午前10時からサンパウロ州リベイロン・プレット文協(堺貞夫会長)で開催され、約20団体や連合会から45人が出席し、来年に向けて地方団体の結束を固めていくことを誓った。プロミッソンやマリリアで予定されている110周年式典を一緒に盛り上げていくことを機会に、地方の団結と再活性化を図るために(仮称)「サンパウロ州日系団体会議」(Uniao dos Entidades Nikkeis do Estado de Sao Paulo)を設立することを決めた。
まずサンジョゼ・ドス・カンポス文協役員だった管野鉄夫さんに黙祷が捧げられた。聖南西文化体育連盟の山村敏明会長が議長に選ばれた。「日本人移住はこの周辺のモジアナ線、グアタパラなどから始まった。そこからノロエステ、パウリスタ、レジストロなどへ広がった。重要な地方の声はもっと聞かれるべきでは」と語りかけた。
ノロエステ連合日伯文化協会の安永信一会長から、来年7月の移民110周年について「ぜひプロミッソン、マリリアに皇族に来て頂きたいと熱望し、申し合わせてきた。もう1年しかない。110周年実行委員会には、できるだけ早い地元との打ち合わせを期待したい」とのべた。
アウタ・パウリスタ日伯文化協会連合会の岡本英樹会長(ドラセナ)も「皇族が来られるのであれば、地方も盛大にフェスタをしないと。地方の全文協が力を合わせ、カラバナ(バス)を繰りだして地方会場に動員できるように準備をしなくては」と呼びかけた。
地元のジャボチカバウ日本人会婦人会の西村ミキ・アリッセさんは、「私たち婦人会は毎日、アリのように黙々とコムニダーデのために働いている。日本人会はレスペイト(尊敬)されているが、他のイタリア系やドイツ系団体に比べたら大人しい存在でしかない。ここはブラジル。もっと地方の日系の声を挙げていくためにウニオンを作ることに賛成」と演説した。
イビウナ文協の川村ミウトン優(まさる)さんも「110周年のレガード(遺産)は何か。地方の団結、再活性化を残してほしい。汚職で政治が混乱した今こそ、子供たちのために日本文化の持つ倫理などの独特の価値観をこの国に広めるべき。我々は農業者だから、未来のための『種』を地方に蒔かないといけない」と語った。
マイリンキの平川キヨシ市議も「私は三世。この会議に五世は来ていない。祖父らが伝えてくれた日本の良い点を和太鼓などを通して若い世代に伝えなくては。そのために地方がもっと活性化する必要がある」と共鳴した。
レジストロ文協役員の清水ルーベンスさんも「同じ問題意識を持つ地方同士が、もっとお互いの成功例、失敗例などの経験を交換すること。それが活性化につながる。その機会を頻繁につくることが、この集まりの重要な意味。ずっと継続するために組織化することに賛成」と支持した。
賛成多数で組織化が承認され、定款のたたき台は11月15日にアチバイアで開催される次の集いまでに準備されることになった。
■ひとマチ点描■JKの感謝状がある文協
全伯広しといえど、大統領からの感謝状がある日系団体は少ない――。第4回サンパウロ州日系団体の集いの会場となったリベイロン・プレット文協の1階に史料館があったので、何気なくのぞいてみた。
床に置かれていた3枚の額を一つ一つめくってみると、なんとジュッセリーノ・クビチェッキ大統領から送られた感謝状を発見。しかも1958年6月18日の日付、つまり記念すべき日本移民50周年の折りに、日本移民が最初に入った地方の日系団体として贈られた感謝状だった。
堺貞夫会長に尋ねると「僕もこの存在を知りませんでした。文協の宝にします」とのこと。移民110周年に向けた集いの会場で、50周年の記念品発見。思いもよらぬ〃お宝〃に参加者一同もビックリ。(深)