人気実力派女優のレアンドラ・レアル(34)がこのほど映画監督としてデビューしたが、その作品がかなり異色のドキュメンタリー映画として話題を集めている。
レアンドラ・レアルはグローボ局のノヴェーラではおなじみの存在で、まだヒロインを演じるところまでは行ってはいないものの、ゆるくウェーヴのかかったブロンド・ヘアの童顔が印象的な女優だ。また、2013年に批評家に大絶賛されたサスペンス映画、「オ・ロボ・アトラス・ダ・ポルタ」に主演し、その演技が絶賛された。
そんな彼女が、映画監督としてデビューした。いわゆる劇場映画としてではなく、ドキュメンタリー映画の監督としてだが、その題材が注目を集めている。
その映画「ディヴィーナス・ディーヴァス」でレアンドラがとりあげたのは、8人のトランスジェンダー、つまり女装する男性だ。
「ディーヴァ」とも称されるその8人はいずれも高齢者で、いわゆるブラジルにおけるトランスジェンダー第一世代と言うべき存在だ。彼らは1960年代に「ドラッグ・クイーン」としてショーを行ってきた。
だが、まだ世界的に同性愛者への偏見が強い時代で、彼らも強い差別を受けた。トランスジェンダーとしての活動を始めた頃のブラジルは軍事政権下でもあったため、その迫害がさらに強かったことは想像に難くない。
22日に解禁となった映画の中心人物のひとりで女装女優のロジェリア(73)は、リオを拠点にドラッグ・クイーンのショーを展開していた。
リオ市シネランジアにはリヴァル劇場という劇場があるが、この劇場の創設者はレアンドラの祖父のアメリコ・レアル氏だ。
このリヴァル劇場は、レアンドラが幼い頃から親しみ、女優として生きていくことを決めた場所でもある。彼女はそこでロジェリアたちのショーも見て育っており、「自分の歴史の中の一部」と言い切るほどだ。
この映画では、そんなディーヴァたちの不屈の生き様も描かれるが、興味深いとされているのが、ロジェリアが男性としての自分を語るところだという。半世紀以上もトランスジェンダーとして生きていながら、性転換手術を受けようともせず、あえて男性としての自分を消さずにトランスジェンダーとして生きる人生哲学に注目が集まっている。
この映画は、全国38の映画館という、かなり小規模での公開となるが、公開前から評判は高く、エスタード紙の映画評でも四つ星を獲得したほか、数多くの批評家からの絶賛を受けている。(22日付エスタード紙より)