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米国農務省がブラジル産生鮮牛肉禁輸を発表=全個体調査で1割不合格に=遅れをとる食肉衛生対策

食肉の品質への疑念払拭の取り組みは各国から疑問視されている(参考画像 - Omar Freire/Imprensa MG)

食肉の品質への疑念払拭の取り組みは各国から疑問視されている(参考画像 – Omar Freire/Imprensa MG)

 【既報関連】米国は22日、品質が信用できないとして、ブラジルからの生鮮牛肉の輸入を禁じることを発表したと、23日付現地各紙が報じた。
 この決定は、ブラジルからの輸入生鮮牛肉の衛生上の問題が増加していることによるものだ。
 3月にブラジル連警が、食肉加工業者たちが品質偽装や隠蔽工作を行っている疑いでカルネ・フラッカ作戦を発動させた際、米国は即座の禁輸措置をとらなかったが、ブラジル産食肉の検査形態を、従来のサンプル検査から100%の個体検査に切り替えた。
 それ以来、ブラジル産生鮮牛肉全体の11%が、衛生状況または牛の健康状態に問題があるとして、輸入を拒否された。米当局は、11%という拒否率は他の国々からの輸入食肉の拒否率1%と比べて高すぎるとして、問題視している。
 ソニー・パーデュー米国農務長官は、「国内における食品の安全性を守る事は、我々にとって非常に重要な任務の一つであり、真剣に事にあたっている」と発表した。
 ブラジル食肉輸出業者協会(ABIES)のアントニオ・カマルデッリ会長は、「米国の輸入拒否は非常に影響が大きく、業界のイメージも悪くなる」とした。
 今回の米国の決定は、カルネ・フラッカ作戦や、業界最大手JBS社社主バチスタ兄弟の報奨付供述によるイメージダウンの傷も癒えないうちの衝撃となった。
 カマルデッリ会長は、口蹄疫対抗ワクチンの副作用で膿瘍ができたことが米国でのブラジル産牛肉受け取り拒否の理由だとしているが、膿瘍は、必ずしもワクチンのせいで起こるものではないとする専門家もいる。
 ブラジル農務省は米国からの苦言を受け、20日に国内の食肉加工業者5社の製品輸出を禁じたが、米国はそれで良しとせず、生鮮肉の全面禁輸に踏み切った。
 10年以上に及ぶ二国間の通商交渉の末、米国へのブラジル産生鮮肉の輸出が開始されたのは16年9月だ。米国はブラジルにとって8番目の食肉輸出相手国だが、その大半は加工製品で、生鮮肉の輸出は市場開拓の途上だった。にもかかわらず、この決定に至った事実は、ブラジルには大打撃だ。米国側は「ブラジル農務省が、当方も満足がいく是正措置をとるまでは、禁輸を続ける」としている。
 米国市場は世界でも衛生基準が厳しい国の一つとして知られており、同国の受け入れ拒否の決定が他の諸国の判断に影響する可能性もある。