テメル大統領が現役大統領としては初めて起訴された26日、ブラジル国内ではジャノー検察庁長官がどんな内容で起訴するかといった憶測が広まったが、市場は平穏な動きを見せたと26日付現地紙サイトが報じた。26日のサンパウロ証券市場の指数は1・8%上昇し、為替は1・13%のドル安で取引を終えた。
ジャノー長官が27日までに起訴状を提出する事は、最高裁のファキン判事が5日間と期限を決めた時点で確実視されており、26日の起訴状提出には誰も驚かなかった。市場関係者は「この件はもう価格に織り込み済み」と表現した。
市場関係者は「もっと重大な事態が起きていれば、事前に何か起きていたはず」とし、新たなビデオや供述があるかもという仮説で市場が踊らされる事はないという。
5月17日の夜、JBS社主のジョエズレイ・バチスタ氏とテメル大統領の会話の内容が漏れた時は、18日の市場が大混乱となった。今回の起訴は事前に情報が流れていたため、混乱を引き起こすには至らなかった。
市場関係者が現職大統領起訴という事以上に懸念しているのは、18年の大統領選だ。また、XPインヴェスチメントスのセウソン・プラシド氏は、「市場の関心事は、現在の経済スタッフが残るか否かだ」という。
同氏の見解は目新しいものではなく、現在の経済スタッフが残る限り、テメル氏が暫定大統領となった約1年前に始まった経済政策が継続すると見る関係者は多い。
これは、現政権の経済政策が、景気見通しを改善させ、インフレ抑制や金利引き下げを実現させていると評価している証拠だ。ペドロ・パレンテス総裁の下でペトロブラスの経営が改善されてきた事も大きい。
労働法改正や社会保障制度改革などの諸改革の審議は政府が期待した以上の時間を要し、税収も思うようには増えていない。だが、その必要性は認識され始めた。
JBSの持ち株会社のJ&Fグループが傘下企業の切り売り交渉を進めている事も、26日の株式市場の指数上昇に繋がったが、証券市場の動きは、政界が揺れ、先行きの透明感に欠ける中でも、ブラジルはまだ投資に値すると判断している投資家がいる事などを示している。