サンパウロ市リベルダーデ区サンジョアキン通りに「陽光会館」という南米布教の一大拠点を4月に竣工した崇教真光(岡田光央(こうおう)第3代教え主、本部=岐阜県高山市)。その竣工祭に集った組み手(同団体の信者の呼称)は、ほとんどが非日系人だった。
当地で布教する日本の宗教は多いが、非日系人に幅広く受け入れられる教団は数少ない。崇教真光はその成功例の一つのようだ。その秘訣は何なのか、活動内容や教えについて、志水宏僖(ひろき)ラ米方面指導部長に聞いた。
崇教真光といえば、誰もが思い浮かべるのは「手かざし」だろう。医学では解消できない病気や、運命的にどうにもならない問題を、手をかざすだけで解消したり、解決の糸口を見出すことが出来るのだという。「業(わざ)」と呼ぶこの手かざしこそが、同団体一番の魅力だと、志水さんは力強く語る。
規定の料金を払って3日間の講習を受ければ、誰でも手かざしの業を使うことが出来るという。「講習を終えて受け取る『おみたま』と呼ばれるペンダントが神との霊波線になって業が可能になる」とのこと。志水さんは「すぐに信じられる人はいないでしょう。実際にやってみることで、なるほどと納得できるもの」と薦める。
「料理は見ているだけ、知っているだけでは本当の味は分からない。自分で作ってみる、味わってみることで、母親の愛情が込もっていたことが初めて分かる。それと同じです」と、日常生活で実践して体得出来るのが崇教真光の特徴だと分かりやすく解説する。
志水さんと同教団との出会いは、大学卒業直後の22歳の時。信頼している友人からの誘いだったという。「それまでは宗教に関心など全くなく、物質的な充足が幸せだと思っていた」。
物が溢れる現代、誰もが物質的な幸せを求める。「本当の幸せとは目に見えない世界からもたらされるもの。なぜ苦しみがあるのかを理解してこそ。そのヒントを与えるのが崇教真光の教え。自分でそれを納得出来た時、手かざしの業が磨かれ、更にもっとその奥を知りたくなる」と自身の体験を振り返る。
活動の拠点は、陽光会館のような大道場だけでなく、中・小・準道場、お浄め所、連絡所等が各地域に存在する。志水さん曰く「下駄履きで通える場所」なのだとか。そこでは月に1度、毎月第一日曜日に「つきなみ祭」が行われ、神前で感謝を込めた祈りの言葉を奏上する。祈りながら神との波長を合わせることが重要とのこと。
こうした道場は普段も開いており、組み手が集まって業を行ったり、医者や教師、企業家、農業(有機栽培)等、職業ごとのグループの交流や研鑽の場にもなっている。また陽光会館では一般の人でも国際会議や文化イベント等で活用できる。
もう一つの崇教真光の特徴は、宗教の垣根がないこと。以前から信仰する自分の宗教を変える必要はないという。だから「他の教団の指導者が、崇教真光の講習を受けることもある」という。最近ではイスラム教指導者が講習を受けたそうだ。
「現在、全伯の正会員は約30万人。非会員や準会員等を含めれば50万人は下らない」とのこと。崇教真光の当地での活動は1973年、日本人を中心に始まった。そこから日系人に広まり、現地の言葉で伝えられ、80年代後半から90年代にかけて一気に非日系人が増えていった。
「自分の宗教を堂々と言うことは、ここでは恥ずかしいことではない」と日本の違いに驚いたという。「貧しい人にお金や食べ物を与えるだけでは、何も解決しないことを歴史が証明している。本当の原因は何なのか、教えから明らかにされる時が来た。現代の私たちが伝える必要がある」と、今後も当地の人と共に活動を続けていきたいと意気込んでいた。