ホーム | ビジネスニュース | 《ブラジル》労働法改正=上院憲政委を16対9で通過=法案内容の調整は暫定令で=来週本会議裁決の見込み

《ブラジル》労働法改正=上院憲政委を16対9で通過=法案内容の調整は暫定令で=来週本会議裁決の見込み

上院CCJでのエウニシオ・オリヴェイラ上院議長(左)と、ロメロ・ジュカー上議(右)(共にPMDB - Lula Marques/AGPT)

上院CCJでのエウニシオ・オリヴェイラ上院議長(左)と、ロメロ・ジュカー上議(右)(共にPMDB – Lula Marques/AGPT)

 【既報関連】上院憲政委員会(CCJ)で29日の夜、労働法改正法案の採決が行われ、上院政府リーダーのロメロ・ジュカー上議(民主運動党・PMDB)の報告書が賛成16、反対9、棄権1で承認された。同改正法案は来週中にも上院本会議にかけられる見込みだと、29日付現地紙が報じた。
 CCJが13時間に及ぶ審議の後、予想を上回る賛成票で同改正法案を可決したことは、現政権にとり、大統領起訴後、初めての勝利で、20日の社会問題審議委員会(CAS)での敗北の傷跡を癒し、本会議承認に向けた票固めにも勢いがついた。
 同改正法案は、雇用者と被雇用者の関係性を〃柔軟化〃する趣旨に基づいて作成されており、憲法で保障される、13カ月給や勤続期間保障基金(FGTS)、最低賃金の権利を保ちつつ、組合税の廃止も盛り込まれ、主に企業家、市場関係者からの支持を得ている。しかし、野党の労働者党(PT)は、「労働者の権利を犯すもの」として反対している。
 同法案への支持を集めるため、テメル大統領(民主運動党・PMDB)は自ら、「修正は法案承認後の大統領裁可の際に、項目別の拒否権行使や暫定令(MP)を出すなどして行う」との書簡を各上議へ送った。
 これは事実上、同大統領が、ジュカー上議に、改革法案反対派説得のための白紙委任状を与えたに等しいと、現地紙は分析している。
 上議たちは、大統領が申し出ている拒否権行使やMP発令の交換条件として、労働法改正法案に賛成し、修正することなく議会を通過させるという取引を持ちかけられている。上議の1人は、「改正法案裁可(と同時の部分的拒否権行使)の日にすぐMPが出るはずだ」と語っている。
 現地紙は、CCJは法案に憲法上の問題があるか否かを審議する場に過ぎず、連立の主要パートナー、民主社会党(PSDB)幹部からも「これはあくまでブラジル社会に必要なものだから…」との声が聞こえているとし、CCJでの改正法案承認は、議会でのテメル大統領の立場の改善を保証する安心材料とはならないとしている。