6月26日に連邦検察庁が最高裁に提出した、テメル大統領(民主運動党・PMDB)への収賄容疑での起訴状が、6月29日に下院に届き、本人への通達も同日中に行われた。今後は、同院憲政委員会(CCJ)で起訴状を受理するか否かの審議がはじまる。大統領には最初の10回の審議の間、起訴された容疑に対する自己弁護の権利が与えられる。CCJはその後の5回で起訴状受理(裁判開始)に関する意見書をまとめ、承認しなければならない。告発が複数の場合は別々に報告官が立てられる見通しで、審議回数が増えることになる。6月30日付現地紙が報じている。
下院では午前中、下院第2書記のマリアナ・カルヴァーリョ下議(民主社会党・PSDB)が63ページにわたる起訴状を読み上げた。この時の審議は60人の下議の参加を得て始まったが、最後まで聞いていたのは、与野党合わせ10数人の下議のみだった。
テメル大統領への通達は同日午後、第1書記のフェルナンド・ジアコボ下議(共和党・PR)によって行われた。
下院での同件の審議に関し、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は、ロドリゴ・ジャノー検察庁長官が、今後も今回の収賄容疑以外の容疑で告発を行ってくる可能性に言及した。
検察庁は今後、JBSのジョエズレイ・バチスタ氏らにエドゥアルド・クーニャ前下院議長(PMDB)らへの口止め料を払わせていたとされる捜査妨害容疑と、ジェデル・ヴィエイラ・リマ元大統領府総務室長官らも含めた犯罪組織形成容疑で、テメル氏を訴える可能性が強い。検察庁が26日に捜査開始を要請した、元側近のロドリゴ・ロシャ・ロウレス元下議がJBS社から受け取った50万レアルを資金洗浄しようとした容疑でも、告発がありうる。
マイア議長は、これらの告発がいつ起こるか読めないことや、検察庁が分割して起訴するなら、大統領側が求めている告発の一括審議はできない可能性があるため、各告発には一人ずつ報告官を立てる可能性があるとした。その場合、1回の告発毎に報告官が1人立てられ、審議期間も延びることになる。
収賄容疑での起訴状審議の報告官は、CCJ委員長のロドリゴ・パシェコ下議(PMDB)が決める。パシェコ氏によると、報告官は「あからさまに連邦政府寄りの人物にはしない」という。
CCJの意見書は、その内容のいかんに関わらず下院本会議にかけられる。全体の3分の2(342人)以上が告発に賛同し、最高裁もその判断を受け入れれば、テメル氏は被告となり、180日間の職務停止となる。その時はマイア議長が大統領代行となる。
テメル大統領は、67人いるCCJ委員のうち「50人が告発阻止に動くはず」と楽観しているが、議会内部では「30人程では」と楽観はしていない状況だという。