ブラジル国庫庁、中銀、社会保障の収支を合わせた中央政府の会計は、5月だけで293億7100万レアルの赤字を計上し、5月としては、1997年の統計開始以来最大の赤字になったと、6月30日付現地各紙が報じた。
今年1月から5月までの累積赤字は349億8千万レで、これも統計開始以来最大だ。
この結果は、最も悲観的な予測を立てていた市場分析員さえも驚かせ、今年の財政目標である、「赤字額を1390億レアル以内に収める」の達成に懐疑的な見方が広まっている。
経済分析員たちの間では、目標達成のためにはさらなる予算の削減と増税が必要とささやかれ始めている。
政府内では、ガソリンやディーゼル油にかかる経済支配介入納付金(CIDE)の増額や、ガソリンに課す、社会統合基金(PIS)と保険融資納付金(Cofin)の増額などの手段が検討されている。
アナ・パウラ・ヴェスコーヴィ国庫庁長官は具体的な施策については語らず、「経済スタッフは必要ならば〃調整〃を行う」の表現にとどめた。
同長官は、5月の赤字増の理由を、従来は11月と12月に行ってきた人件費や社会保障関係費の支払いを前倒ししたためと説明した。同長官は支払いを早めた事で、従来の期日まで遅らせる事で生じる通貨価値修正分の年6~7億レアルを節約できると説明している。
同長官の〃方便〃も、経済専門家たちの「政府は財政目標を達成できるのか」という疑念を払拭するには不十分だった。その主な理由は、税収が月を追うごとに落ち込んでいるからだ。
コンサルタント会社パララクシスのエコノミスト、ラファエル・レオン氏は、「政府の税収見込みは甘く、このままでは今年の赤字額は1700億レアルになる」と語った。
確かに、信頼感指数の上昇や工業生産の向上など、経済活動が改善している事を示す兆候はあるが、失業率はまだ高い。また、最近の政治危機も経済活動の状況改善に影響を及ぼしている。
国庫庁によると、今年1~5月の税収は、インフレ調整後の昨年同期の税収より1・7%減り、総額5599億2千万レアルだった。支出は、昨年同期比1・1%減の4963億9千万レアルだった。
ヴェスコーヴィ長官は、今年1~5月の社会保障費の累積赤字額は700億2千万レアルで、昨年同期より40・8%増えたと明かした。政府は、今年の社会保険院(INSS)の赤字額を1842億レアルと予想している。
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