連邦検察庁からのテメル大統領に対する収賄容疑での告発に関する、下院憲政委員会(CCJ)での審議が始まろうとしているが、現時点ではまだ、いずれの連立与党も大統領への告発阻止で固まっていないと、2、3日付現地紙が報じている。
大統領に対する一般的な犯罪での告発を最高裁が審理するためには、下議全体の3分の2(342人)以上の賛成が必要なため、裁判開始を食い止めるには、3分の1にあたる172人以上が反対すれば良い。現時点でのテメル政権の連立与党党員は下院では327人いるため、告発阻止はそれほど難しくないことのようにも見える。
だが、2日付フォーリャ紙によると、同紙が先週行った聞き取り調査では、513人の下議の内、告発阻止を明言した下議は45人しかいなかったという。逆に「捜査を継続すべき」、つまり「告発に賛成」している下議は、告発成立に212人足りない状態ながら、130人いた。
フォーリャ紙の調査によると、「わからない」が112人、「答えたくない」が57人で、現状ではまだ、多くの議員が発言を保留している。その背後には「党が方針を明らかにしていないから答えられない」という思惑があるという。
だが、3日付エスタード紙によると、テメル大統領の連立与党の中で、「党をあげて告発を阻止する」ことを決めた政党は、テメル氏の民主運動党(PMDB)を含めてひとつもないという。
もっとも、下院最大の63人の議員を擁すPMDBの下院リーダー、バレイア・ロッシ氏は「この件については今後も話し合う予定はない。大統領が有罪だと立証できる具体的な証拠は何も提出されていないから」と楽観視している。
だが、現在、連立与党からの離脱もささやかれている民主社会党(PSDB)は阻止票が難しくなっている。同党にはCCJ委員が7人いるが、その内の6人は告発に賛成しているという。
また、伝統的にPSDBに近い立場をとる民主党(DEM)も、ロドリゴ・マイア下院議長がテメル氏と非常に密な間柄なのに、党としての態度を決めかねている。同党リーダーはテメル氏の釈明を聞いてから態度を決める意向だ。連立離脱がほぼ決定的なブラジル社会党(PSB)は、36人の下議の大半が告発に賛成している。
下院が大統領に対する告発を認め、最高裁がその判断を受け入れた場合、テメル氏は被告とされ、180日間の停職となる。その間の大統領代行はマイア氏が務める。
大統領に望みがあるとすれば、現在逮捕中のエドゥアルド・クーニャ前下院議長(PMDB)が在任中にまとめた会派、「セントロン」を構成する、社会民主党(PSD)、共和党(PR)、進歩党(PP)、ブラジル労働党(PTB)が「証拠不十分」との見解を見せていることか。これら4党は140人の下議を擁している。