リオデジャネイロ州では財政危機対応策の法案審議の都度、抗議行動などが起きているが、その上に、警官への給与やボーナス支給の遅配、政策の見直しの遅れなどが重なり、治安悪化が顕著になっている。
1~3日付現地紙、サイトが報じた、6月30日にリオ市北部のマンゲイラで起きた母娘死亡事故や、ドゥッケ・デ・カシアス市で同日起きた妊婦と胎児の負傷事件も治安悪化の一例だ。
リオ市の事件は6月30日朝、ブラッコ・ケンテというファヴェーラを巡回中の治安維持駐留部隊(UPP)所属の軍警が犯罪者達に襲われて起きた銃撃戦の最中に起きたもので、マルレネ・マリア・ダ・コンセイソン氏(76)と娘のアナ・クリスチナ氏(42)が流れ弾を受け、病院への途上で死亡。男性1人も負傷し、治療を受けた。
怒った住民がバスを襲撃し、放火する事件も起き、バスが路線を変更した他、鎮静化のため、近隣のUPPの警官や突撃隊が派遣された。
ドゥッケ・デ・カシアス市での事件も流れ弾によるもので、リッションと呼ばれるファヴェーラから出て行こうとした警官達が犯罪者から銃撃された際、買い物をするために家を出た妊娠9カ月のクラウジネイア・ドス・サントス・メロ氏が被弾、病院に運ばれた。
胎児は緊急手術で取り出されたが、アルトゥール君は肺を貫かれ、片耳も少し吹き飛ばされた。また、脊椎損傷で、少なくとも片足は動かなくなる見込みだ。2日には頭部の血栓も発見され、感染症や内出血の可能性も懸念されている。
同市住民も怒り、1日夜、軍警が基地として使用しているコンテナに放火。幹線道路封鎖やバス襲撃も起きたが、午後8時半に封鎖は解かれた。
リオ州では、UPPを含む治安対策上の問題解決が進まない上、新たな警官採用資金もない。現職警官への給与やボーナスの支給も遅れている。
同州では流れ弾による死者が5月半ばまでに23人報告されており、学校内に弾が飛び込んだ例も2件起きている。同州の要請で連邦政府が派遣した国家治安部隊(フォルサ・ナシオナル)は既に警備に当たっているものの、大きな改善は起きていない。
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