下院憲政委員会(CCJ)は4日、検察庁がテメル大統領を収賄疑惑で告発した問題に関する報告官として、セルジオ・スヴェイテル下議(民主運動党・PMDB)を選出した。テメル大統領と同じ政党ではあるが、連邦政府に対しては「中立の立場」とされており、展開の読みにくい結果となった。5日付現地紙が報じている。
スヴェイテル氏はリオ州選出下議で、エドゥアルド・クーニャ前下院議長(現在逮捕中)と同党・同州の下議だが、下院最大党のPMDBの中では「独立派」とされている。当選も2期目で、政治家としての実績はまだ短い。
同氏選出の意外性は、連邦政府が表明した「何と無名な人物を」という反応にも現れている。同氏がテメル氏と同党であるのにも関わらずだ。
CCJ委員長のロドリゴ・パシェコ下議(PMDB)は、今回の選出は「能力面を考慮したもの」と説明した。とりわけ、スヴェイテル氏が司法界出身であったことが決め手となったようだ。
選出を受け、スヴェイテル氏は「私は、(テメル大統領に対して)票を投じた人のことではなく、ブラジルのことを第一に考えたい。プレッシャーはない」と、あくまで公正に報告官をつとめることを誓っている。
この選出は、報告官を味方の人物にして審理を有利に進めたかった連邦政府にとっては思わぬ展開となった。政府はパシェコCCJ委員長が、アルセウ・モレイラ氏やジョネス・マルチンス氏(共にPMDB)、レアルテ・ベッサ氏(PR・共和党)といった政府派の下議を選出することを期待していた。
一方、労働者党(PT)を中心とした野党側は、連立与党を実質上離脱しているブラジル社会党(PSB)のタデウ・アレンカール下議の選出を望んでいた。
スヴェイテル氏はこれから、パシェコ委員長と共に審議の日程を決めていくことになる。原則としては、テメル大統領側の弁護に最大10回、CCJとしての意見書作成とその承認に5回の審議が認められているが、大統領側は5日の内に弁護のための書類を提出する意向だ。スヴェイテル氏はこの書類と検察からの書類を基に意見書をまとめ、CCJに諮ることになる。
現状としては、CCJは10日までに審議を終わらせ、12日に下院全体の審議にかけたい意向だ。最悪の場合でも、来週金曜の14日までには審理を終え、17日には投票を行いたいとしている。それは18日から下院が休会に入るためだ。
下院本会議で3分の2の342人以上が告発に賛成し、最高裁がその判断を受け入れれば、テメル大統領は被告となり、180日間の停職処分となる。