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サンパウロ総合大学=人種別入学枠採用を決定=サンパウロ州内の人口比率に合わせる=「これで医学部目指せる」の声も

USP中央広場の時計塔(Wikimedia Commons)

USP中央広場の時計塔(Wikimedia Commons)

 【既報関連】サンパウロ総合大学(USP)の大学審議会は4日、2018年の入学試験から全学で、社会階級別、人種別の入学枠を採用することを決定したと、5日付現地各紙が報じた。
 USPは18年までに全学部の新入生の50%を公立校出身者とする目標を立てていたが、現状は37%と程遠い。今回は、医学部も公立校出身者の枠の導入を認めたため、目標達成を21年まで延長する事と年次目標が定められた。18年は各学部の新入生の37%を公立校出身者とする事を目指し、19年はその比率を各学科で40%、20年は各学科各コース(夜間などを含む各課程)で45%、21年は各学科各課程で50%と上げていく。
 サンパウロ州では「黒人(P)」「白人と黒人の混血(パルド、P)」「先住民族(I)」を合わせたPPIが総人口に占める比率は37%なので、「公立枠」の37%がPPI用の枠となる。
 USP入試業務担当財団(Fuvest)のデータによると、16年の新入生は、PPIの比率が17・4%だった。この比率は全学部で一定ではなく、医学部では8%のみだった。
 USP学長らが創案したこの特別枠案は、4日の大学審議会で承認された。当初の提案は、社会階級の別(公立校出身者であるか否か)だけを取り扱っていたが、PPI枠を定める事は、特記事項扱いで加えられた。
 会議の前には、300人ほどの教員が、同措置を支持する意見書にサインしていた。
 連邦大学は2012年よりこの措置を採用しており、USPのPPI枠採用は遅きに失した感もあるが、マルコ・アントニオ・ザーゴ学長は審議会後、「USPという、ブラジル国内のリーダー的存在である大学が全学で公立校枠とPPI枠採用を決めた事は象徴的」との声明を発表した。
 公立枠、PPI枠は、Fuvest、統合選抜システム(SISU)など、全ての入試システムで採用される。
 18年のUSPの定員枠は1万1147人で、その内2745人がSISUで選抜される。SISUの選抜枠は、423人分が無差別枠、1312人分が公立校出身枠、1010人分が公立校出身のPPI枠となる。
 また地元紙は、この措置を歓迎する学生の声として、医学部を志望するエヴェリン・デ・ソウザさん(17)の、「私と同じ社会的条件の人たちと公正に競えることで、私にも医学部の道が見えてきた。これまでずっと公立校で勉強してきた。学校の後に進学塾にも行っているけれど、そこで習う事はずっと難しい」の声を紹介した。