東京都議選で自民党が大敗したが、投票日前に自民党関係者がとんでもない失言や暴言を繰り返していたと知り、「さもありなん」と独りごちた▼最たるものは、秋葉原で応援演説を行った安倍首相への「安倍やめろ」コールに対し、首相が言い放った「こんな人達に私達は負けるわけにはいかないんです」という言葉だ。上から目線で返した「自分の意に適わない人はみんな敵」的な言葉は、心の底の敵対意識や差別意識の裏返しで、一国の総理の立場を忘れたものだ▼稲田防衛相は都議選の応援演説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と語り、公務員の地位利用と非難された。本人は一国会議員としての応援演説と釈明し、辞任を求める声も拒絶した。政策秘書に「このハゲ」などの暴言、暴行を繰り返し、自民党を離党した豊田真由子衆議には、就任後の4年半で辞任した約100人の秘書から、「誤った選民意識の持ち主」「差別意識の塊」などの批判が出ている▼こういう失言や暴言が出たのが大臣や国会議員という立場故か、自民党の体質故かは不明だ。だが、一連の報道と都議選の結果を見、ある心理学者の本にあった「言い間違いは本音の表れ」という論を思い出した。理性が働いている時の発言や行動はフィルターがかかっており、本音も抑制出来るが、立腹や油断でフィルターが外れた時に出てきた失言などは本音を映し出すというのだ。普段は標準語だが急に方言が出るとか、同僚相手なのに家族同様の表現を使うといった類の表出もありうるが、責任ある立場の人の本音が漏れて問題が起きた時は、修復に時間がかかるし、その後の行方に不安も残す。(み)