昨年4~8月、CIATE(国外就労者情報援護センター)が当地の三、四世を対象に日本に対する意識調査を行った。10月に発表された結果では、自由記入欄に四世向けの特別在留ビザの解禁を求める意見が多く記入され、さらに回答者の周囲に訪日就労を望む四世が多数いることも分かった。四世ビザが話題になっている折、1985年以来なんと30年を超えたデカセギ現象を総括すべく、四世本人や派遣業者を含めて関係者に取材してみた。(國分雪月記者)
CIATE調査の回答率は「日本での労働を望む四世の知り合いがいる」が53・8%、「日本で働きたい」と応えた四世が17%もいた。
訪日を望む回答者の多くの日本語能力は「基礎」レベルが46・6%。次いで「全くできない」は27・4%、中級18・2%、上級7・8%と続いた。つまり、上手ではない。
訪日を望む理由は「観光地を訪れたい」(48・3%)、「職業経歴を積みたい」(43・1%)、「文化交流」(42・9%)、「留学」(34・1%)、「お金を稼ぎたい」(34・1%)の順位。
「生活に追われてお金を稼ぐため」が中心だった従来のデカセギ訪日の頃とは違って、まるで留学や観光の機会として日本就労を望む回答が多い様子だ。
同調査を行った萱島ロージェル・カツジさん(49、三世)も元デカセギだ。調査を行った理由について「四世という日系新世代の興味や日本とのつながりを知りたかった」と語った。
萱島さんは1990~94年まで日本に滞在し、自動車部品や電子部品の工場等で働いた。訪日の際の日語能力は「基礎」程度だったそうだ。
日本の生活で日語能力の不足で困ったことはほとんどなく、職場の日本人とも外出する仲になり、仕事は丁寧に教えてもらえたという。
「自分はブラジル人というアイデンティティーを確かめられました。慣れるのに困ったのは文化と食べ物の違いだけでした」。4年間の経験は萱島さんにとって自分のルーツを知り、日本人の考え方や習慣を理解することにつながった。
萱島さんは四世向け在留ビザについて「解禁することに賛成です」との意見。ただし、90年6月の出入国管理法改定・施行により、定住が可能になった二、三世が大量に訪日する「デカセギブーム」が起ったことを挙げ、「受け入れ制度を整えていなかった各地域で混乱を招いてしまった」と述べた。
「デカセギ希望者はこのような事態を二度と起こさず、すぐに日本の生活に慣れるため、日本語や習慣をもっと勉強しなければ」と注意喚起し、「働きに行く人は、今後の人生設計にしっかりと計画を持つべきだ」と呼びかけた。(つづく)