下院では年金受給開始年齢引き上げなどを含む社会保障制度改革法案の審議が待たれる中、公社を退職した職員らが年金基金の運用上のミスなどで生じたつけを負わされていると10日付現地紙が報じた。
ペトロブラスや連邦貯蓄銀行(Caixa)などは独自の年金基金を持ち、労働者が積み立てた金を投資し、運用益を得ている。だが、これらの基金は投資先が事業に失敗したりして資金を回収できないなどの理由で巨額の赤字を抱えており、年金から割り引く処置をとる基金も出ている。
各公社の年金基金名と赤字額は、郵便局:ポスタリス74億レアル、連邦貯蓄銀行:フンセス120億レアル、ペトロブラス:ペトロス268億レアル、ブラジル銀行:PREVI131億レアルだ。
ポスタリスは退職職員8万4200人の年金から17・92%を割り引いている上、2015年に生じた赤字回収のため、さらに2・73%の割引を始める。フンセスも5万6700人の退職者の年金から10・64%を割り引いている。
ペトロスは、退職者7万7千人の年金を割り引くか否かとその割合を今年中に決める。ブラジル銀行の退職者10万3100人については、PREVIが近年行っている投資で収益が上がっており、年金割引の必要はなくなる可能性がある。
公社の年金基金の赤字問題は、15年の議会調査委員会設置や連警のグリーンフィールド作戦で明らかになり、公社職員らに不安が広がった。
主な投資失敗例は、ペトロブラスの石油採掘船建造用に創設されたセッテ・ブラジル社への投資だ。フンセフは同社に10億レアルを投じたが、ラヴァ・ジャット作戦による汚職摘発でペトロブラスの動きが止まり、採掘船の建造も中断。投資額を回収できずにいる。
1983年に連邦貯蓄銀行を辞し、現在86歳の女性は、約380レアルの割引で、赤字のつけを負わされている。郵便局退職後、2013年から割引を受け始めた67歳の男性は、1656・79レアルの年金から18%弱の約300レアルを引かれているが、割引率は年内に20%強に変更される。
毎月1千レアル以上を薬代に費やしている年金受給者らは、汚職企業などに科せられた罰金で赤字分が埋め合わされ、割引が停止される事を切望している。