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《ブラジル》水道整備事業を民間委託へ=国外企業も熱い視線送る

 上下水道設備の貧弱さは永らくブラジルの抱える大きな課題となってきた。それを解決するため、社会経済開発銀行(BNDES)が、国内18州の水道整備事業を民間委託するための調査を始めたところ、各国企業が受注に向けて興味を示していると、10日付現地紙が報じた。
 現地紙によると、水道開発に興味を持っている会社は、ブルック・フィールド(カナダ)、Aegea(ブラジル)、伊藤忠、三井物産(日本)、GSコーポレーション(韓国)などだ。
 アラゴアス、マラニョン、ペルナンブッコ、セルジッペなどの10州では事業計画技師との契約を既に終えており、アマゾナス、バイーア、パラナ、リオなどの7州は、技師の選定が進んでいる。
 ブラジルは何十年も上下水道設備への投資を怠ってきた。その結果、現在も国民の半数は下水処理設備へのアクセスがなく、家庭まで水道が通っていない国民も2割いる。さらに、設備が脆弱なために水漏れが起き、せっかく浄化した水も、その3割は家庭に届く前に失われてしまう。
 2033年までに全国民に水道設備をいきわたらせるという政府の計画実現には、年間200億レアルの設備投資が必要だ。しかしながら、2010年から15年までの投資額は毎年110億レアルに留まった。
 この状況は、世界の企業にとってブラジル国内での存在感を高めるための好機とも捉えられている。
 この数週間で、ブラジルの政治危機は混迷の度を増し、経済の先行きにも不透明感が立ち込めているが、長期的な視野に立つ投資家たちは、「ブラジルの上下水道設備整備への参画は決して悪い話ではない」と見ていると現地紙は分析している。