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アーティストたちの祈り通じる=スヴェイテル報告官のテメル大統領告発受け入れ

 現在ブラジルは、収賄容疑で起訴されたテメル大統領の告発を、下院が受け入れるか否かに注目が集まり、下院の憲政委員会で報告官をつとめるセルジオ・スヴェイテル氏が、告発を「受け入れる」という見解を示したことに、国民が好意的な反応を示している。
 とりわけそれを喜んでいるのは、ブラジルを代表する歌手や俳優といったアルチスタ(アーティスト)たちだろう。実は彼らは、スヴェイテル氏が10日に注目の判断を行う前からネット上でキャンペーンを行っていた。
 発端となったのは5日、大御所歌手カエターノ・ヴェローゾが、元夫人でマネージャーのパウラ・ラヴィーネ氏と発起人となり、リオのイパネマの自宅に反テメル大統領派のアーティストたちを多数集めて、「スヴェイテル氏を見張るキャンペーン」をはじめたことだった。
 そこに集まったのは、司会者のフェルナンダ・リマ、女優のアリーネ・モラエスにヘナータ・ソラー、ロックバンド「デトナウタ・ロック・クラブ」のヴォーカリスト、チコ・サンタ・クルズ、歌手のヴァレスカ・ポポズーダなど、多数のアーティストたちだ。
 彼らは「スヴェイテル、エスターモス・デ・オーリョ!(スヴェイテルよ。私たちは見てるんだぞ!)」というはり紙を抱えて写真に写り、それを自分たちのインスタグラムなどに貼ることでメッセージを拡散した。
 さらに動画でも、にらみを利かせた彼らが、スヴェイテル氏に向かって「見張ってるぞ」のポーズをとってすごんでいる映像を録画し、ネットで流していた。
 スヴェイテル氏はテメル大統領と同じ党(民主運動党)だが、派閥に関与しない司法関係出身者ということで、どちらに転ぶかわからないという中立派だ。同氏が報告官に選ばれたことで、反テメル派は同氏の判断に期待を込め、こうしたプレッシャーをかけはじめていた。
 もっとも、ブラジルの芸能関係者は伝統的に、前大統領のジウマ氏や元大統領のルーラ氏が所属する労働者党(PT)との結びつきが非常に強いため、昨年のジウマ氏罷免時に、民主運動党と労働者党との連立関係を解消させ、追い落とす側に回ったテメル氏は、「裏切り者」であり、憎むべき存在でもあった。
 彼らアーティストはジウマ氏の罷免の際、同氏や、ラヴァ・ジャット作戦での汚職スキャンダルに揺れる労働者党を盲目的に擁護したため、国民から強い反感を買われていた。今回の報告官監視行動も、一部では強い反感を買ったものの、現在のテメル政権は国民の支持率がわずか7%まで落ちているゆえか、全体的には好意的にとらえられている。(7日付UAIサイトなどより)