10日、下院憲政委員会(CCJ)で、収賄容疑でのテメル大統領告発に関する審議の報告官をつとめるセルジオ・スヴェイテル下議が、「告発を受け付ける」という内容の意見書を読み上げた。11日付現地紙が報じている。
スヴェイテル氏はテメル大統領と同じ民主運動党(PMDB)所属ではあるが、党内では独立派を貫き、かつ、司法界出身の経歴通り、客観的な判断に終始した。
スヴェイテル氏は検察庁からの大統領の告発文書に関し、「収賄を疑わせるだけの十分かつ深刻な兆候が見られる」とし、「作り上げた代物であるとは言い難い」との見解を述べた。
スヴェイテル氏は大統領の弁護側が弁明書で述べていた「(JBS社社主の)ジョエズレイ・バチスタ氏から脅迫行為が行われた」との記述に関し、「両者の会話の録音ではそのような痕跡は見られない」との見解を示した。さらに「会話の隠し撮りは違法だ」との記述に関しても、「相手が知らなかった録音を証拠とするのは、1997年に最高裁が合法としている」との反論も行った。
さらにスヴェイテル氏は、下院という場は「政治的な見方を中心に判断する場所であり、私たち自身が告発された人物が有罪か、無罪かを判断することはない。我々は告発の内容が正しいか否かを推測するだけで、罪状の有無といったテクニカルな判断は最高裁に委ねるべきだ」として、「告発を受け入れる」との見解を示した。
このスヴェイテル氏の報告に対し、テメル大統領の弁護人のアントニオ・クラウジオ・マリス・デ・オリヴェイラ氏は、「録音は編集されている」との持論を曲げなかった。さらに、「検察庁はJBSに恩恵を施した」とし、「大統領に関したでっちあげを作り上げ、特権を濫用している」と批判した。
連邦政府は当初から、スヴェイテル氏が大統領に不利なパレセール(見解)を出すと予想しており、現在はパレセールの無効化を狙っている。その一環として、連立与党のPMDB、ブラジル労働党(PTB)、ブラジル共和党(PRB)、社会民主党(PSD)、連帯(SD)、共和党(PR)が直前に、CCJの委員を告発を受け入れない考えの持ち主に入れ替えた。PRに至っては、6人中5人を入れ替えるほどの慌しさで、CCJのロドリゴ・パシェッコ委員長も、倫理的に問題があるのではと苦言を呈している。
CCJ66人の委員のうち34人以上が反対すれば、報告官を選びなおして審議をやり直すことになるが、そのCCJ投票は12日からはじまる委員、補欠委員らの見解表明が終わった後だ。
11日にはスヴェイテル氏のパレセールの代案を提出する動きが起きてくるなど、大統領支持派のなりふり構わない告発阻止の様子も浮き彫りになってきている。