【既報関連】1946年から3年間、サンパウロ州ウバツーバ市にある監獄島アンシェッタに収容された日本移民を顕彰し、先月27日夜、同市議会は9月23日を『日本移民の日』として市公式日に制定する法案を全会一致で可決した。
1926年に島へ入植し、毒性マンジョッカを食べ悲劇の死を遂げたブルガリア移民ら151人を顕彰した記念日が昨年に制定されたことを機に、坂本メリーザさん(59、二世)を中心に4月から立法化に向けて運動が始まり、オスマール・デ・ソウザ市議により同法案は提出された。
投票を前に、議会で演説した坂本メリーザさん(59、二世)は、「ブラジルは全ての移民を受け入れきた国。この記念日の制定により、日本移民との絆が確かなものとなる」と訴えた。
収監された172人のうち勝ち負け抗争で殺害事件に関与した実行犯を除く84%は無罪であり、野菜や果物の栽培や発動機の修理を行うなど厳格で規律ある行動を見せたという。
市議からの意見が順々に述べられ、立法化に尽力したオスマール・デ・ソウザ市議は関係者の功績を称え、「同市にとっても重要な法案。来年には、日本人移民110周年を迎え、サンパウロ州に皇室の方が足を運ばれる可能性がある。記念日に併せて、市を訪問頂ければ大変光栄」と語った。
また、かつて日系人商店で働いていたというビビ・インジオ市議は「坂本さんの話を聞きとても感激した」と日本移民の貢献を称え、「私は黒人とインディオの混血。様々な人種の混血で構成されるのが我々の国で、日系人もその一部だ」と語った。「この町でこのような悲しい歴史があったことは恥ずべきこと。国民を代表して許しを請いたい」として全会一致での可決を訴えた。
生物学者で非政府団体を運営し、同島での調査のなかで日本移民の歴史を知ったという坂本さんは本紙取材に、「島の歴史を知ってフィーリョス・ダ・イーリャ(島の子)に日本人も加えなければいけないと思った」と活動の原点を振り返り、「名誉回復までにこれほどの歳月がかかるとは。それゆえ皆の心を動かし、全会一致で可決したのだと思う。本当に喜ばしいことだ」と肩を撫で下ろした。
今後は9月23日の記念日に向け、同島の資料館に日本移民の写真や史料等を日ポ両語で展示する計画を進める。当時リーダー格であった山内房俊さんが整備した発電機などの貴重な史料も残っているという。
坂本さんは「来年は移民110周年を迎え、大きな重みを持つ年になる」と見据え、「記念日に合わせ運動会も併催するなど人を集めるような工夫も凝らし、多くの人が宗教や思想を超えた世界平和を考える一日になれば」と期待を膨らませた。