「皆さんが民謡に真摯に取り組んでいる姿を見て感動した」――。日本民謡協会の慶祝使節団(金子利夫団長)は、ブラジル日本民謡協会創立50周年記念のために来伯し、9日午後4時より日本祭り会場で記者会見を行なった。福島竹峰さんのそんな感想に他のメンバーは大きく頷いた。
金子団長、菊地淡茂副団長、佃光堂さん、福島さん、佐々木淙山さん、山本代富さん、清野明子さんの7人が会見に臨み、当地についての感想を語った。
金子団長、菊地副団長以外は今回が2、3回目の来伯となる。佃さんは当地の民謡について「基礎をしっかり勉強している。楽器はかなり高いレベル」と評した。
メンバーは8、9日に日本祭りの舞台で4回の公演を行なっており、「ブラジルの観客はノリが良い。演奏していて楽しかった」と口々に話した。菊地副団長は「皆さんの反応を見て、予定していた演目をテンポの良い曲に入れ替えた。変わらなかったのは『ソーラン節』だけ」と明かした。
金子団長は「日本は個人主義が広がっているが、ブラジルでは子や孫と一緒に民謡を楽しんでいる。日本に追いつく勢いで今後も活動してほしい」と、ブラジル民謡関係者にメッセージを送った。
日本民謡協会の慶祝使節団は、ブラジル日本民謡協会創立50周年を記念する公演を16日9時より、サンパウロ市の文協大講堂(Rua Sao Joaquim, 381)で行なう。今回が16回目の来伯となる日本民謡協会理事長代理の佐々木基晴さんも出演する。入場無料。
問い合わせは、ブラジル日本民謡協会、塩野会長(11・99997・7929)、佐藤元宏副会長(11・99590・1654)まで。
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日本民謡協会の慶祝使節団の一行によると、民謡は古くから口伝えで伝承された唄で、大正の終わりから昭和の初めにかけて「民謡」として一般に認知されるようになった。民謡は日本各地には何万曲、熊本県だけで1360曲もあるという。地域によって特色があり、北部はこぶしが効いた明るい曲が多く、南部はゆったりとした曲が多い傾向だとか。「寒くて貧しい地域で辛い唄では死にたくなる。厳しい環境ほど元気な曲が生まれる」とのこと。唄に生きる活力を見出すほど辛い時代があったと思うと、明るく元気な曲も感慨深く聞こえる。