【既報関連】13日にペルーのウマラ元大統領と妻のエレディア氏が、資金洗浄と収賄の容疑で逮捕されたと14、15日付ブラジル国内各紙・サイトが報じた。
同元大統領には、2006年と2011年の大統領選の際、ブラジルの大手建設会社のオデブレヒト社から、選挙資金として賄賂を受け取った容疑が持たれている。2人には18カ月の予備拘留が宣告された。
トレド元大統領にも逮捕状が出ているが、現在は米国で逃亡生活を送っている。ペルー検察はウマラ元大統領にも逃亡の恐れがあるとして、予備拘留を求めていた。
ウマラ元大統領は、ブラジルでの汚職捜査ラヴァ・ジャット作戦で、オデブレヒト社元社長のマルセロ・オデブレヒト被告らが行った報奨付供述が発端となって逮捕された、初めての元国家元首だ。
オデブレヒト社幹部らは米国司法当局に、2005年~14年にペルーだけで2千万ドル以上の違法献金を行ったとの供述を行っていた。ウマラ元大統領の逮捕は、オデブレヒト社とのつながりが取り沙汰されているラテン・アメリカ諸国の指導者に「明日は我が身」とのプレッシャーとなっている。
オデブレヒト社の報奨付供述に基づく汚職捜査は、コロンビア、エクアドル、ベネズエラといったラテン・アメリカ諸国の政府中枢にも及んでおり、世界各国からのブラジル検察庁への捜査協力依頼は3月以降、急増している。これらの国々は今後の捜査の展開次第で、政治、経済両面での危機が顕在化する恐れがある。
ラテン・アメリカ諸国の識者は「オデブレヒト社の汚職の構造は深くラテン・アメリカ諸国を蝕んでおり、司法が適切に対処しなければ、各国民主主義の危機となる」との見解で一致している。
アルゼンチンの政治学者セルヒオ・ベレンステイン氏は、「ラテン・アメリカ諸国の政治は汚職と切り離せない関係にある。自浄作用が働かないと、政治システムは一層弱体化する」と言う。また、ペルーの政治学者アドリアナ・ウルティア氏は、「オデブレヒト社の事件発覚は中南米諸国の行く末にとっての分水嶺。汚職撲滅のための司法の役割について論ずる機会は以前もあったが、ペルーでの元大統領逮捕でこの論議が公平に適用されていなかったことが明らかになった」としている。
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