ロドリゴ・ジャノー検察庁長官は17日、米国でラヴァ・ジャット作戦にまつわる捜査と司法取引に関する講演を行い、テメル大統領に対する新たな告発について、「新たな容疑に関する捜査が熟し、明確な証拠が挙げられたら、それが任期終了前日であっても告発するが、十分な証拠がなければ捜査中断を求める」と語った。18日付現地紙が報じている。
ジャノー長官がこの発言を行ったのはワシントンにあるウイルソン・センターでの講演会でのことだった。
ジャノー長官は、JBS社社主のジョエズレイ・バチスタ氏らの報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)を基に、テメル大統領を収賄容疑で告発したことに関し、「下院が告発を拒否することは十分考えられるし、あの件に固執しようとも思わない。法的にどうしようもできないことだ」との見解を語った。
テメル氏の収賄容疑に関する告発に対する下院全体投票は、休会明け後の8月2日に行われる。下院の憲政委員会(CCJ)が13日に当初の報告官の「告発を受け付ける」との見解を否決し、別の報告官による「受け付けない」とする見解を圧倒的な支持で承認した時点で、大統領側にかなり有利に進んでいることが歴然となっている。
その全体投票の雲行きを変えるには、検察庁からの次なる告発が効果的と目されていた。テメル大統領に対しては、収賄容疑のほかに、連邦貯蓄銀行や社会経済開発銀行(BNDES)がJBSに不正貸付を行った見返りの贈収賄などにみる犯罪組織形成容疑、エドゥアルド・クーニャ前下院議長やPMDBのロビーストらが報奨付供述に応じないようJBSに口止め料を払わせたことでの捜査妨害容疑、元側近のロドリゴ・ロシャ・ロウレス氏との資金洗浄容疑で捜査が進んでいる。
同長官はこれらの容疑に関する告発については「(自身の任期終了前、最後の週日である)9月15日までに捜査が熟せば告発する」と語るに止まった。JBSとの司法取引については、内容の重大性を鑑み、「供述内容に関する懲罰は不問に伏す」との要請を受け入れたと語った。後任のラケル・ドッジ氏は9月18日に就任する。
ジャノー氏の任期中に次の告発が行われない場合、テメル氏への新たな告発に関する下院での審議は10月以降に持ち越されることになる。
一方、テメル大統領は8月2日の下院での全体投票に向けた対策を講じている。まずは、自党の民主運動党(PMDB)の党員で、告発受け入れに賛成している下議8人を説得する意向だ。同党は下院に63人の議員がいるが、現時点では55人が告発に反対の意向を表明済みだという。
テメル大統領は連立与党離脱がささやかれている民主社会党(PSDB)に対する対策も講じており、同党のブルーノ・アラウージョ都市相がペルナンブッコ州で行うイベントに参加し、誠意を見せる予定だ。