文化系電化製品店としてブラジルでも定着しているフランス資本のFNACは、ブラジルから撤退との噂があったが、ブラジルの老舗書店リヴラリア・クウツウラが買収することが決まった。
FNACはフランスで1954年に創業。本国では184店舗を持つ大企業で、ヨーロッパを中心に国際的なチェーン展開も行っている。
ブラジルには1999年に進出し、サンパウロを中心に全国に12店舗を構えている。その支店数は、フランス、スペイン、ポルトガルについで4番目だ。
FNACはステレオやテレビ、ラジオ、携帯電話など、映像や音楽に関連する電化製品に特化した店で、CDやDVD、本、プレイガイドなどの文化事業を合わせて行っている。ブラジルでも、店舗数がとりわけ多いサンパウロ市内では、音楽や映画のファンに強く愛された店の一つだった。
だが、デジタル化が進み、CDやDVDの売り上げが急速に落ちた上、時を同じくして起きたブラジルでの不況により、ここ数年は売上が急落。本国側は、ブラジルでの売上が総売上(74億ユーロ)の2%に過ぎない、つまり1億5千万ユーロ程度だということもあり、2月にはブラジル市場から撤退という説も流れていた。
だが、そこに、書店大手のリヴラリア・クウツウラが乗り出すことになった。リヴラリア・クウツウラは70年の歴史を持ち、本店は同市でも最大の繁華街であるパウリスタ大通りの名物で、同大通りにあるコンソラソン駅前の大型複合ビルに象徴のように入っている。本店のそばには老舗映画館もあり、市内の高齢者たちからは、格好の文化施設として強い支持を得ている。
クウツウラは全国に18店舗を有し、2016年の年商は3億8千万レアルだ、
FNACもパウリスタ大通りの駅を一つはさんだブリガデイロ駅の名物店でもあり、正式に買収となると、同大通りの二つの大型店舗をおさえることにもなる。
クウツウラとしては、FNACの持つ電化製品やデジタルの部門を取り込んで、より多角的な経営を目指したい意向だ。
まだ両社からの正式なアナウンスや買収額の発表はない。(19日付G1サイトなどより)
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