政府は19日、今年の財政目標である、基礎的財政収支の赤字額を1390億レアル以内に収めるためには、100億レアルの不足が出ると判断し、その埋め合わせのために、燃料にかかる税を引き上げることを決めたと、20日付現地紙が報じた。
政府関係者によると、ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)は、何としてでも財政目標を達成しなくてはと考え、経済政策チームに増税へのゴーサインを出したという。
増税されるのは、ガソリンやディーゼル油にかかる社会統合基金(PIS)や社会保険融資納付金(Cofins)だ。
PISやCofinsは増税のために議会承認を得る必要はなく、大統領令によって、即刻施行となる。新税率は未だ検討中だが、21日に増税発表となる見込みだ。
燃料にかかる税金には経済支配介入納付金(Cide)もあり、それも増税の可能性があるが、新税率が施行されるまでに少なくとも3カ月かかる上、徴税された金の行き先が国と自治体に分かれてしまうため、経済政策チームは導入に慎重な姿勢を崩していない。
テメル大統領は、赤字を減らすために、5月末に滞納税回収計画(Refis)関連の暫定令を出した。
だが、暫定令は120日以内の議会の承認が必要なのに、下院は現在、同大統領に対する検察からの告発受理を巡って混沌としている。現状では早期の暫定令承認は困難なため、財政目標達成のためには増税しかないのが実情だ。
国庫への収入の見込み違いには二つの要因がある。一つは、景気回復が遅れ、経済活動に伴う税収が落ち込んだ(前年比0・2%減)事で、もう一つは、国営企業の民営化が遅れている事だ。連邦会計検査院(TCU)は今週、国営企業民営化で見越している70億レアルの収入を今年の会計に含む事を諦めるよう、連邦政府に勧告した。
昨年6月から今年6月までのガソリンの平均価格は、1リットル3・64レアルから3・54レアルに下落し、エタノールは1リットル2・46レアルから2・48レアルに上昇した。
テメル大統領は就任以来、常に、増税反対の立場をとり続けてきたが、直近12カ月間の累積インフレ率が3%まで低下し、ガソリンの本体価格も下がっている今、燃料増税の影響は小さくて済むため、決して悪くない選択肢と判断した。既に増税発表のための原稿も用意しているという。