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巻き返しなるかサンパウロFC=3連覇戦士エルナネスの復帰などで

 現在のブラジルのサッカー界は、サンパウロ州の強豪抜きでは語れない。コリンチャンスは全国選手権で独走しており、パルメイラスとサントスはリベルタドーレス杯、コパ・ド・ブラジル(ブラジル杯)で共に決勝トーナメント入りして戦っている。
 そんな中、一つ蚊帳の外にあるのがサンパウロFCだ。現在、全国選手権では2部降格圏内の17位。19日の試合でようやく勝利したものの、その前の9試合は勝ち星をあげられずにいた。
 サンパウロは昨年までは豊富な戦力で確実に上位につけてきた。だが、ガンソやアレッシャンドレ・パトをはじめ、主力が次々と流出した後の対処が悪かった。
 同チームは下部組織の育成が良いことで知られているが、それにも関わらず、ボスキリア(モナコ)、ダヴィド・ネレス(アヤックス)、ルイス・アラウージョ(リール)と、チームの顔になりうる逸材が出てきても、欧州からの移籍金の高さを重視して、簡単に放出。
 その金で外国人選手の補強などを行うも、成功といえるのはアルゼンチン代表でフォワードのルーカス・プラットのみで、後は不作。この悪循環で、チームが生んだ伝説のゴールキーパーから監督になったロジェリオ・セニ氏が、監督を半年で解任される憂き目にあっている。
 そうしているうちに、サンパウロFCは、サンパウロ州4強から一つ取り残された。このまま不調が続くと、クラブ史上初の全国選手権2部落ちの危機まで現実的なものとなる。
 そこで、背に腹は変えられぬとばかりに、サンパウロの大物獲得攻勢が始まった。
 まずその第1弾がエルナネスだ。これはサンパウロにとっては大きな意味を持つ。エルナネスと言えば、2013年のコンフェデ杯や14年のW杯でもセレソンに召集され、試合にも出場したミッドフィールダーだ。
 だが、同チームにとってそれ以上に意味があるのは、彼が2006~08年にサンパウロが全国選手権で3連覇したときの中心選手であったということだ。黄金期のサンパウロのいい頃を知る彼が、チームへの愛情と共に、どこまでチームを立てなおすことができるかに期待がかかる。
 エルナネスが直近に所属したのは中国の河北華夏だが、それまでは、イタリアでラツィオ~インテル・ミラン~ユベントスと強豪を渡り歩いて活躍している。
 さらにサンパウロは、クロアチアのディナモ・ザグレブに所属していたフォワード、マルコス・ギリェルメの獲得にも成功した。現在21歳のギリェルメは、2015年にU20のW杯で、現在セレソンのセンターフォワードを務めるガブリエル・ジェズスとフォワードを組み、U20の準優勝に貢献した選手で、かねてから期待の若手として注目されていた。
 さらに、まだ「獲得希望」の段階ではあるが、国内リーグ有数の右サイドバックと定評のあるマルコス・ロシャ(アトレチコ・ミネイロ)、現在イタリアのサンプドリアでプレーする左サイドバックで、一時はセレソン入りも期待されていたドド獲得の噂もある。
 就任して間もないドリヴァル・ジュニオール監督は、「もう選手の出たり、入ったりというのはやめてくれ」と、移籍の連続で不安定になっていたチームに警鐘を鳴らしているが、規模のあがった移籍攻勢がそんな監督の懸念を上回るかが見ものだ。(19日付グローボエスポルテなどより)