テメル大統領は20日、今年の年末までに104億レアルの増収を図るべく、燃料に対する社会統合基金(PIS)/社会保険融資納付金(Cofins)の増税を発表した。それと同時に59億レアルの支出削減も発表したが、共に早くも強い懸念を持たれている。21日付現地紙が報じている。
燃料1リットルあたりのPIS/Cofinsは、ガソリンが現行の0・3816レアルから0・7925レアルと倍以上になるのをはじめ、ディーゼルが0・248レアルから0・4615レアルに引き上げられ、エタノールの製造者に対する課税も、0・12レアルから0・1309レアルに値上がりする。また、これまでは課税対象ではなかったエタノールの配給業者に対しても、1リットルあたり0・1964レアルの税金が課せられる。
これにより、連邦政府は、今年の年末までに、ガソリンで51億9161万レアル、ディーゼルで39億6240万レアル、エタノール配給業者で11億5224万レアル、エタノール製造業者で1億1490万レアルの増収を見込んでいる。これらの総額は、104億レアルになる。
企業家たちの間ではこの値上げに関して、早くも不満の声があがりはじめている。それは昨年のテメル政権発足の際、多くの企業家が、「増税は行わない」というテメル氏の約束を信じ、同政権を支持する意向を固めていたからだ。
その一例は、サンパウロ州工業連盟(FIESP)のパウロ・スカッフィ氏だ。同氏はテメル氏と長年の親友で、同じ民主運動党(PMDB)の所属ながら、「増税の場合は反対運動も辞さない」としてきた。同氏は早速、21日に、増税反対活動でおなじみとなった黄色いアヒルをサンパウロ市パウリスタ大通りの同連盟ビル前に置き、抗議の意を表明した。
大統領は更に、59億レアルの追加の支出削減も同時に発表した。今年のはじめに390億レアルの支出削減が発表されているため、合計で449億レアルの削減ということになる。
この経費削減は、JBSショック以来の政界動乱で国の財政の先行きが見えなくなっていることを意味している。関係者は、この財政削減により公共サービスの何かが止まることを恐れている。6月には、支出削減の影響で連邦警察がパスポート発行を停止する事態も生じていた。
政府は経費削減開始前に連邦会計検査院(TCU)に、特別な増収の見込みについて説明する必要もある。その例は、司法当局から払い出しが命じられたが、連邦貯蓄銀行に2年以上放置されている賠償金などの国庫への繰り入れ(20億レアル)や、リオのガレオン空港の運営権を巡る再入札で入るはずの20億レアルなどで、死者に払われていた補償金などの回収に関する法令作成でも、8億レアルが国庫に戻る見込みだという。