23日のサッカー全国選手権で、2000年代生まれの選手による初のゴールが、1試合2発のド派手な活躍で刻まれ、話題を呼んだ。
そのシュートを決めたのは、ヴァスコ・ダ・ガマに所属するパウリーニョで、7月17日で17歳になったばかりの新鋭だ。
パウリーニョは今月に入ってプロ契約を交わしたばかりの選手で、13日のヴィットーリア戦でデビュー。出場はこの試合が3試合目で、先発出場はこの日が初めてだった。ただ、与えられている背番号は、右フォワードのエース・ナンバーの7番。チームの期待の高さはここからも感じられた。
この日、ベロ・オリゾンテのインデペンデンテ・スタジアムでのアトレチコ・ミネイロ戦に先発出場したパウリーニョは、いきなりチャンスをものにした。前半14分にペナルティ・エリアの手前で、ミッドフィルダーのエスクデロが前方に出したパスを相手ディフェンダーが受け止めそこなうと、パスの先にいたパウリーニョがタイミングよく走りこみ、ゴールに押し込んだのだ。これが2000年代生まれの選手による全国選手権初ゴールとなった。
だが、パウリーニョはこれで終わらなかった。後半24分、ヴァスコが相手陣営に攻め込み始めると、パウリーニョはペナルティ・エリアの手前で受けたボールを、躊躇せずにいきなりミドル・シュート。このシュートは鮮やかにゴールを突き刺し、2点目。これが決勝点となり、ヴァスコは2対1で勝利した。
この二つのシュートで一躍脚光を浴びたパウリーニョだが、これはまた同時にブラジルのサッカー・ファンにとって予想外の展開だった。なぜなら今季は、5月の開幕当初から、16歳でレアル・マドリッドと巨額契約したパウリーニョと同い年のヴィニシウス・ジュニオール(フラメンゴ)に話題が集中し、今回の記録も彼が作るものと予想されていたからだ。
ヴィニシウス・ジュニオールは6月から強豪フラメンゴで先発出場し、試合によっては活躍が伝えられたが、期待されていた得点はここまでゼロで、ファンからは不満の声があがりはじめていた。さらに、フラメンゴが実績のある攻撃の選手を多く補強したため、ここ数試合はベンチを暖める状態も続いていた。
ヴィニシウスは今年3月のU17南米選手権で最多の6得点を記録し、ブラジルの優勝最大の立役者になっていたが、パウリーニョもほとんどの試合に先発して2得点を決めていた。守備位置はヴィニシウスが左、パウリーニョが右のウィングだった。
そして、パウリーニョのこの日のセンセーションで俄然沸き立ったのがヴァスコのファンだった。なぜならヴァスコとフラメンゴはともにリオが本拠で、長年にわたる宿敵であり、ライバル意識が強いためだ。よってヴァスコ・ファンは早速「うちのパウリーニョの方が、メディアが作り上げたスターなんかより実力が上だ」と、ネット上でヴィニシウスを挑発する行為に走っている。
もっとも、優勝が狙える戦力のあるフラメンゴと違い、ヴァスコはここ数年で2度2部落ちをするなど低迷中。昨年2位のフラメンゴとは選手層の厚さも違うことから、パウリーニョにチャンスが回って来やすかった背景はある。だが、それをパウリーニョは確実にものにしたことになる。
早くも「黄金世代か?」といわれる、この2000年生まれの2人の今後の争いに期待だ。(23日付オ・ジア・サイトなどより)