労働者党(PT)が19日、ニカラグアで行われた中南米の左翼連合の会議において、ブラジル共産党(PCdoB)と共に、圧政振りが世界的に問題視されているベネズエラのマドゥーロ政権を支持する声明に署名したことが明らかになった。22日付エスタード紙が報じている。
PTが署名したのは、中米のニカラグアで行われていた「第23回フォロ・デ・サンパウロ」の閉会式で採択された声明だ。この会合はPTの発案で1990年7月に発足したもので、中南米の左翼政党が一堂に会する場となっている。
この会合においてPTとPCdoBは、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ政権に対する支持を改めて表明。同政権が推し進めようとしている憲法改正を肯定する発言を行い、声明にも署名したという。
PTとベネズエラの統一社会党(PSUV)政権は、先代のチャベス氏が大統領だった90年代からの古い付き合いだ。チャベス氏は2013年に癌で死去しており、その後のベネズエラはマドゥーロ氏が率いているが、同氏の代に入ってからの同国はハイパーインフレと物資不足で大混乱が続いている。
これにより国民からの不満が高まり、PSUVは議会選挙でも大敗したが、マドゥーロ政権は議会を骨抜きにしたり、同大統領罷免のための国民投票を阻もうとして様々な妨害行為を行ったりしている。
また、野党側リーダーのレオポルド・ロペス氏の不当逮捕など、反体制派の政治家や活動家への圧政が国際的に問題視されている。反体制派抑圧は4月以降、特に激化しており、抗議行動に参加して死亡した反体制派の人の数は100人以上になっている。これらの死者の中には、学生や未成年者も含まれている。
だが、今回のフォロの最終決議では、「帝国主義に対抗する形のボリバル主義革命が攻撃対象にされている」とし、マドゥーロ大統領の権限をさらに強めるための憲法改正を肯定している。
また、PTのグレイシ・ホフマン党首はこの席でスピーチを行って、「PTは、ベネズエラの政権に対する右翼からの暴力行為に立ち向かうマドゥーロ大統領やその支持者への支援と連帯を表明する」と発言した。
さらにPCdoB代表のアナ・プレステス氏も「右翼の暴力行為に立ち向かうために、フォロは完全に一体化しており、マドゥーロ大統領を全面的に支援する」と発言した。ニカラグアには代表を送れなかったが、民主労働党(PDT)も同様の発言を行った。
マドゥーロ大統領は23日、ベネズエラ議会が21日に最高裁判事として指名した33人の判事の逮捕と資産没収をほのめかす(その内の1人は22日に身柄を拘束された)など、威嚇的な姿勢を見せた。また、30日に予定されている制憲議会の議員選挙も強行する姿勢を見せている。これに対し、反体制派は48時間ストやデモ行進を呼びかけている。