ホーム | ビジネスニュース | 《ブラジル》政治危機で政府の収入が61億レアル減=与党弱体化の影響如実に=景気低調で税収も伸びず

《ブラジル》政治危機で政府の収入が61億レアル減=与党弱体化の影響如実に=景気低調で税収も伸びず

メイレレス財相(左)とオリヴェイラ企画相(右)(Valter Campanato/Agência Brasil)

メイレレス財相(左)とオリヴェイラ企画相(右)(Valter Campanato/Agência Brasil)

 【既報関連】政治危機により、テメル政権が目指していた経済政策承認が難航している事などが原因で、政府の収入が少なくとも61億レアル減っていると、22日付現地紙が報じた。
 収入減の一例は、企業が社会保障費を国に納める際の優遇措置であるデゾネラソン(支払免除)だ。議会が政府の思惑に反し、多くの企業を、同制度を享受できる状態に留めたことで、当初45億レアルと見られた収入は39億レアル減となる見込みだ。
 3月に行われた国内4空港の経営権入札では35億レアルの保証金が入ってくる見込みだったが、入札規定が企業側に有利な条件に見直され、前記の額の内、22億レアルの入金が期待できなくなった。
 赤字を減らすための滞納税回収計画(Refis)関連の暫定令(MP)は、議会審議によってオリジナルのMP766号の内容が大きく変化したため、5月末に大統領が新たなMP783号を出したが、政府が当初回収できると見ていた140億レは、少なくとも当面は20億レアル程度の効果しか期待できなくなっている。
 ジオゴ・オリヴェイラ企画相は、社会保障制度改革を進めるためだけでなく、国庫の収入減を引き起こす措置を成立させないためにも、議会の協力が必要だと訴えた。
 政府与党に以前の勢いさえあれば、デゾネラソンや空港入札、Refis関連の減収を食い止める事も可能だが、現在は与党が弱体化しており、それができない。
 これによって政府は増税を行わざるを得なくなり、20日にはガソリンやディーゼル油、エタノールにかかる税金引き上げが発表された。
 104億レアルの税収増が見込まれるこの措置と同時に、政府は59億レアルの支出削減も発表し、今年に入ってからの財政の締め付けは450億レアルに達した。
 オリヴェイラ企画相は、「これ以上、政府が支出削減を行わないで済むように、Refis関連の暫定令は変更せずに通過させるという、政府と議会との間の約束が守られることを信じている」とも語っている。
 なお、サンパウロ市パウリスタ大通りのサンパウロ州工業連盟ビルの前などには、21日から早速、「政治家の失策のツケを、増税で国民に払わせるな」と暗喩する、巨大なアヒルの風船人形が登場している。